旧日本軍の沈船などが被害、違法サルベージで

スクラップ鉄目当てのサルベージ業者によって、第二次世界大戦中にペナン島沖で沈んだ日本の軍艦などが無許可で引き揚げられる事件が相次いでいる。

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スクラップ鉄目当てのサルベージ業者によって、第二次世界大戦中にペナン島沖で沈んだ日本の軍艦などが無許可で引き揚げられる事件が相次いでいる。

今年に入って日本船を含め少なくとも沈船5隻が違法な引き揚げに遇っているという。英字紙「ザ・スター」が報じた。

違法に引き揚げられている日本船は、1943年8月と1944年1月にそれぞれ沈んだ特設砲艦「長沙丸」と軽巡洋艦「球磨」。1945年5月に沈んだ重巡洋艦「羽黒」など3隻も引き揚げが行われているという。

沈船のスクラップは1トン当たり600リンギ程度で売られており、違法業者は1回の引き揚げ作業で80-100トンあまりを引き揚げているという。

「戦時下のペナン」を書いた歴史家のアンドリュー・バーバー氏は、沈船が第二次世界大戦中に戦死した日本の水兵の墓標となっており、それを無断で引き揚げることはペナン州の歴史を破壊することになると批判。公式の慰霊碑にはなっていないものの日本の遺族は毎年慰霊のために沈船のある海域を訪問しているとした上で、マレーシア政府に対し「こうした違法行為を野放しにせずに保存のための努力をすべきだ」と述べた。

また沈船は格好の魚礁となっており、これを違法に引き揚げることは地元の漁師にとっては漁場を破壊されることを意味するという。ある漁師によると沈船の付近で1日当たり250-350リンギの水揚げがあったが、違法なサルベージで収入が絶たれてしまったという。
(ザ・スター、5月22日)

伊藤 祐介

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