KDDI、海上保安庁の巡視船「さつま」に基地局を開設…実証試験

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KDDIと海上保安庁は、鹿児島県が主催する「2014年度鹿児島県総合防災訓練」に参加し、5月22日に、海上保安庁の船舶に携帯電話基地局(実験試験局)を開設し、商用と同等の電波を用いた携帯電話システムとしての品質を検証する実証試験を実施する。

訓練は、南海トラフを震源とする大規模地震に備え、鹿児島県が防災関係機関の相互連携や県民の防災意識の高揚を図るため、毎年度実施している総合防災訓練。鹿児島県近海を震源とする地震や、津波及び集中豪雨を想定し、情報伝達や救出、救護、避難誘導、ライフライン復旧等の訓練が行われる。

KDDIは、この訓練で、災害などで通信障害が発生しているサービスエリアを早期に復旧させるため、車載型基地局、可搬型基地局、無線エントランス回線の増強など、さまざまな取り組みを行う。また、陸上での復旧に加え、陸上の被災状況に影響されない海上からの復旧を行うことで、サービスエリアの早期復旧を目指す。

海上保安庁は、実証試験の場所となる船舶を提供する。

今回の実証試験では、鹿児島海上保安部所属の巡視船「さつま」の船上に開設した携帯電話基地局の電波を、高台で受信し、通話品質を測定する。基地局からの電波強度の確認と船舶の揺れに伴う品質への影響を確認する。

また、2012年11月に広島県呉市で実施した、携帯電話基地局を船上に開設した実証試験では、800MHz帯の指向性アンテナを用いた沿岸部のサービスエリア復旧を検証した。今回は、2GHz帯のオムニアンテナを用いて高台のサービスエリア復旧を行う。これにより、高台の避難場所に対する実用性の確認と通信システム(周波数、アンテナ指向性など)の違いによる効果も比較する。

今回の実証試験に全面的に協力する第十管区海上保安本部では「船上に携帯電話基地局を開設し、災害時に迅速なエリア復旧を行うKDDIの取り組みは意義のあるもので、海上保安庁の緊急通報用電話番号118などの受理体制早期確立、迅速な救助・支援活動にも役立つ。海上保安庁としてもこの取り組みに最大限協力していきたい」とコメントしている。

KDDIと海上保安庁は、今回の実証試験をはじめ、今後も携帯電話基地局の船上開設の早期実用化を推進する。

《レスポンス編集部》

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