川崎重工は4月7日、ガス専焼で大型船舶の主機(出力2MW以上)となる舶用ガスエンジン「L30KG」を開発し、ノルウェー船級協会より国産のガスエンジンで初めてエンジン本体の型式承認を取得したと発表した。
同社では、同エンジンの営業活動を開始するとともに、引き続きエンジン本体と同様に制御システムについても年内に型式承認の取得を目指すとしている。
同社は、舶用ガスエンジンの開発に先駆けて、世界最高の発電効率49.5%と窒素酸化物(NOx)排出量200ppm以下(酸素:O2=0%換算)という高い経済性・環境性を有する発電用ガスエンジンを自社開発し、既に市場に投入している。
今回の舶用ガスエンジン「L30KG」は、この技術をベースに、舶用ならではの負荷変動への対応技術や、エンジンの出力でプロペラを直接駆動させる直結推進方式と、発電した電力でプロペラを駆動させる間接推進(電気推進)方式の両方への適用技術の開発を進め、神戸工場内に設置した約2.7MW(6シリンダ)の実証機で試験運転を行ってきた、という。
船舶から排出される二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスや窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)は、国際海事機関(IMO)により段階的に排出規制が強化され、ディーゼル機関からのNOx排出量は、早ければ2016年から排出量3次規制が実施され、特定規制海域において1次規制比で80%以上の削減が義務づけられる。
ガスエンジンは、NOx排出量規制の対象外だが、脱硝装置などの特別な装置を用いることなく3次規制値を大幅に下回ることが可能。また、ディーゼル機関と比較し、CO2とSOxの排出量も大きく低減できる優れた環境性能を備えており、各種環境規制に 適合した船舶の建造に貢献することができるという。
今回、同社が発売するL30KG型ガスエンジンは、シリンダ径が300mm、ストロークが480mmで、5シリンダから9シリンダまでのエンジンをラインアップし、定格出力で2.225KWから4.005KWを発揮する。