欧州発の再使用型宇宙船試験機『IXV』10月初飛行に向け本体が完成

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タレス アレニア スペースが公開したIXV試験機。
  • タレス アレニア スペースが公開したIXV試験機。
  • IXVの予想図

2014年3月21日、タレス アレニア スペースは、欧州が開発する大気圏への再突入が可能な宇宙往還機『IXV(Intermediate eXperimental Vehicle)』実験機が完成したと発表した。今年10月に初試験を予定している。

IXVは、再使用型宇宙往還機を目指してESA 欧州宇宙機関が開発を進める実験機。空気熱力学や航法衛星の情報を元にした大気圏への再突入時の自動操縦、耐熱性能などを実証するための中間的な機体となる。アメリカで開発が進む、シエラ ネヴァダ コーポレーションの7人乗り有人宇宙船「ドリームチェイサー」などと同様に、本体が揚力を生むリフティングボディ型の機体となっている。

機体はタレス アレニア スペース イタリアが設計し、イタリア宇宙機関(ASI)を中心に欧州の産業界、大学共同のコンソーシアムで製作を行った。現在はイタリア・トリノでミッションコントロールセンターの準備を進めている。

IXV無人試験機は、今年10月に仏領ギアナ・ギアナ宇宙センターからヴェガロケットで打ち上げられる。IXVは高度320キロメートルでヴェガロケットから分離後、412キロメートルまで上昇する。大気圏への再突入時には、高度120キロメートル付近で秒速7.7キロメートルに達する予定だ。一連の試験機の状態はすべて記録される。

試験全体にかかる時間はおよそ1時間40分ほど。パラシュートを開いて降下し、太平洋に着水した後に船で回収される。

《秋山 文野》

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