カナダ、新宇宙政策を発表

宇宙 企業動向
2012年、日本のHTV(こうのとり)3号機から曝露パレットを引出す国際宇宙ステーションのロボットアーム「カナダアーム2」。
  • 2012年、日本のHTV(こうのとり)3号機から曝露パレットを引出す国際宇宙ステーションのロボットアーム「カナダアーム2」。

2014年2月7日、カナダは今後の宇宙政策「Canada’s spaCe poliCy Framework」を発表した。ジェームズ・ムーア産業大臣による発表では、昨年、国際宇宙ステーション(ISS)のコマンダーを務めたクリス・ハドフィールド宇宙飛行士に続く人材輩出を目指すとしている。

国際宇宙ステーション参加国のひとつであるカナダからは、米露以外の国から初のISSコマンダー就任となるクリス・ハドフィールド宇宙飛行士が2013年に長期滞在を行った。100以上の実験に従事し、初のISS上でのミュージックビデオ収録を行って”歌う宇宙飛行士”として有名になったハドフィールド宇宙飛行士の名前を発表文書の冒頭で上げ、次世代のリーダー排出を目指すという。

カナダは、宇宙開発で強みを持つ分野として2013年に打ち上げられた光学偵察衛星「Sapphire」、ISSのロボットアーム「カナダアーム」などのロボティクス技術、合成開口レーダー衛星シリーズ「RADARSAT」、衛星通信事業など、強みを持つ固有の分野として挙げた。宇宙政策発表文書では「キー技術の優位性」を5つの基本方針のひとつとしており、戦略的に分野を絞ってリソースを投入すると考えられる。また、宇宙開発を担うのは基本方針として「民間企業を宇宙開発の最前線に」としていることからも民間活用を進めたいようだ。2012年、カナダの宇宙産業には約8000人が従事し、33億3000万ドルの収益を得たとしている。また、過去5年間でカナダ宇宙分野の収益は19パーセント、5億3300万ドル増加しているという。

宇宙科学の分野では、2018年に打ち上げを目指している次世代大型宇宙望遠鏡、ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡への参加を改めて表明。国際共同プロジェクトへの参加を推進し、産業や学術の利益を守るとしている。

《秋山 文野》

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