まもなく消える銀座線の「非暖房車」

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新型車両への置き換えが進行中の銀座線01系。初期に製造された車両は今では珍しくなった「非暖房車」だ。写真は冷暖房装置を搭載した第26編成(左)と冷房装置のみ搭載した第06編成(右)。
  • 新型車両への置き換えが進行中の銀座線01系。初期に製造された車両は今では珍しくなった「非暖房車」だ。写真は冷暖房装置を搭載した第26編成(左)と冷房装置のみ搭載した第06編成(右)。
  • 01系のうち暖房装置が搭載されていないのは第01~23編成。車体先頭部と側面に記載されている番号の下2桁(赤枠で囲った部分)が「01」~「23」なら非暖房車だ。
  • 暖房装置が搭載されている車両は座席の下にスリットが入っており、ここから暖気を車内に送り込む。
  • 非暖房車は座席下のスリットがない。
  • 早朝の非暖房車に乗って車内の温度を測ってみたところ、おおむね20度で安定していた。
  • 銀座線渋谷駅ホームの奥にある引上線から姿を現した01系非暖房車の第18編成。車内温度の低下を防ぐため、非暖房車は可能な限り地上部に留置しないようにしているという。
  • 渋谷駅に停車中の01系。2016年度には非暖房車を含む全ての01系が1000系に置き換えられる予定だ。
現在の旅客用鉄道車両は、外気にさらされるトロッコ列車など特殊な車両を除き、空調がほぼ完備されている。冷房装置を搭載していない車両(非冷房車)は北海道を中心に若干残っているが、暖房装置を搭載していない「非暖房車」は、極めて珍しい。

ただ、極めて珍しい存在ではあるが、東京の人にとっては身近な存在であるといえるかもしれない。東京地下鉄(東京メトロ)が運営している日本最古の地下鉄・銀座線で、非暖房車が運用されているからだ。

銀座線では現在、1983年から1997年にかけて製造された01系と、2012年に登場した1000系が営業運転で使用されている。このうち01系は、1983~1987年度に製造された初期の車両が、冷暖房装置を搭載せずに登場した。

01系の先頭部と側面には、形式を表す「01」に続いて車両番号を表す3桁の数字が記載されている。この番号の下2桁が「01」~「23」なら、冷暖房装置を搭載しなかった初期車だ。「24」以降の後期車は冷暖房装置を搭載し、初期車も後に冷房装置を追加する改造を受けたが、暖房装置は今に至るまで設置されていない。

旅客用鉄道車両の空調は、戦後になってから本格的に普及した冷房装置に対し、暖房装置は戦前の段階で導入が進んでいる。01系の初期車が製造された頃は、冷房装置はともかく暖房装置は「搭載されていて当たり前」の時代になっていた。なぜ、暖房装置が搭載されなかったのか。

東京メトロによると「銀座線はほとんどがトンネル区間であり、冬場であってもトンネル内は低温になることがありませんでした。そのため、暖房を使用せずとも車内が低温にならないので、(01系の導入にあたっては)以前の車両と同様に暖房措置を搭載しない方針といたしました」という。

実際に1月28日早朝の5~6時台、100円ショップで購入した温度計を携え、非暖房車に乗ってみた。列車に乗るまでは温度計を外気にさらしていたこともあり、渋谷駅で乗車した直後こそ12度を示していたが、その後は徐々に上がって20度に達したところで安定した。安物の温度計ゆえ、やや不正確かもしれないが、体感上も寒さを覚えることはなかった。

逆にいえば、後期車でも暖房装置を搭載する必要はなかったはずだが、銀座線は渋谷駅付近など、ごくわずかながら地上に出る部分もある。このため「地上部に(車両を)留置した場合、車内は低温になってしまう」(東京メトロ)ことから、後期車には暖房装置を搭載。その一方、地上部に車両を留置する編成数は限られているため、初期車を改造した際は冷房装置のみ追加し、暖房装置は搭載しなかった。地上部には可能な限り、非暖房車を留置しないようにしているという。

銀座線では現在、冷暖房装置を搭載した1000系の導入が進められており、2016年度までに非暖房車を含む全ての01系が1000系に置き換えられる予定だ。東京メトロは01系の今後について「(自動車の車検に相当する)定期検査の工程を考慮して廃車計画を立てております」としており、非暖房車が優先的に廃車となることはなさそうだが、いずれにせよ2016年度までには非暖房車が消滅することになるだろう。
《草町義和》

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