2014年1月14日、サリー・サテライト・テクノロジー(SSTL)社は、カザフスタンのGhalam LLP社が開発する超小型地球観測衛星『KazSTSAT』ににSSTL製の新型「X50」衛星バスが採用されたと発表した。
KazSTSATは、SSTL社のX50衛星バスをベースにした地球観測衛星「SSTL-X50」シリーズの小型版「 アースマッパー」を採用している。X50アースマッパーは、SLIM-6マルチスペクトルカメラを搭載し、分解能22メートルで600キロメートルの範囲を一度に撮影できる。高度686キロメートルの太陽同期軌道を周回し、5日以内に1億3000万平方キロメートルと陸域のほとんどを撮影することができる。運用寿命は5~7年ほどで、日中の陸域を高頻度に撮影する、農業、洪水監視、水質評価、森林監視、災害監視などの目的に向いているという。
今回の衛星バス採用は、2013年7月にSSTLとGhalam LLP社が結んだ共同開発契約に基づくもの。SSTLは14人のカザフスタン側技術者と共同で衛星開発にあたり、衛星の環境試験はGhalam LLPがカザフスタンのアスタナに新設した試験施設で行われる。Ghalam LLP社は国営株式会社カザフスタン・ガルィシュ・サバルィ(National Company Kazakhstan Garysh Sapary":KGS)とEADSアストリウム社(現エアバス ディフェンス・アンド・スペース社)によるジョイントベンチャー企業だ。
SSTL社は、英サリー大学の小型衛星研究者が興した衛星開発ベンチャー企業。民生電子部品を使った低コスト、短期間の衛星開発を特徴とし、1981年の「UoSAT-1」以来41機の人工衛星を開発・製造し打ち上げている。同社の衛星は欧州の全地球測位衛星システム「Galileo」の測位衛星や民間火星移住プロジェクト「マーズ・ワン」の火星周回通信衛星などに採用されている。