流氷に阻まれ砕氷船も近づけず
ホバートの真南の南極海で流氷に囲まれて動けなくなっていたロシア船「アカデミク・ショカルスキー」の船客がヘリコプターで近くの砕氷船に救出された。
同船は、南極観測科学者の他自費見学者を載せ、ダグラス・モーソンの南極探検経路をたどり、科学調査を行っていたが、12月24日、風に吹き流された流氷に阻まれて動けなくなっていた。その後、中国の砕氷船「雪龍」やオーストラリアの砕氷船「アウロラ・アウトラリス」が近づこうとしたが、流氷が厚く、自分たちも能力を超える厚みの流氷に閉じ込められる危険が大きいことから、いずれも10kmないしは数kmの地点で引き返している。
気象条件が良くなった1月2日午後、中国砕氷船のヘリコプターがロシア船に飛び、5時間近くかけて研究者や見学者52人をオーストラリア砕氷船に運んだ。乗客の一人、BBCのアンドリュー・ラック=ベーカー記者によると、オーストラリア船は今後4日間かけて西方、南極圏のすぐ外側に位置するオーストラリアの南極観測基地ケーシー基地に向かう。「救援活動が何度も不首尾で終わったことで少なくともまだ1週間は無理だろうと思っていたが、突然ヘリコプターが救出に来てくれた。少々驚きだった」と語っている。
当初の計画では、乗客らを「雪龍」に運び、そこからはしけで「アウロラ・アウストラリス」に移す予定だったが、その後オーストラリア海事安全局(AMSA)が、「乗客らを直接豪砕氷船に空輸する」と発表した。また、豪、中国の砕氷船も本来の作業を放棄してオーストラリアの港に戻ることはできないため、救出された研究者と乗客は1月中頃までケーシー基地に滞在することになる。
ロシア船の船員22人は船の管理のため同船にとどまっている。(NP)