【トヨタ ハイエース 改良新型】ユーザーの声を形に、ここまで進化した…商品実験部 渡辺 誠氏

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トヨタ自動車 商品実験部 渡辺 誠氏
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2004年にデビューした現行200系『ハイエース』が10年目の今年、マイナーチェンジした。基本骨格やパワートレインはこれまで通りだが、デザインや装備については実に細かく、多岐にわたって改良されている。

今回は長年ハイエースの開発に携わってきたトヨタ自動車 商品実験部の渡辺 誠氏に、開発の舞台裏を聞いた。

◆ 常にお客様のところへ行って話を聞く

----:まず、渡辺さんのお仕事や、商品実験部という部署について教えてください。

渡辺氏(以下敬称略):私は1991年の入社からハイエースとの関連が長く、最初の頃は先代ハイエースの特装関係、例えばハイメディック(HIMEDIC)と呼ばれる高規格救急車やキャンピングカー、ウェルキャブなどを担当していました。今は商品実験部の車両試験課で、それらのいわばベース車となるハイエースの総合評価をしています。

仕事の内容を簡単に説明しますと、ショールームや自宅駐車場でクルマを見た時の見栄えや質感、使いやすさ、触感といった“静”の部分から、実際に走った時の乗り心地、操縦安定性、振動・騒音といった“動”の部分まで、車両をトータルで、しかも“官能”で見るということになります。例えば、今回ハイエースの一部グレードで行ったアブソーバーチューニングでは、主査の包原(かねはら)さんから、開発の最終段階で「最後のひと押しが足りない」という意見があったので、一緒に乗り合わせをして、最終的には操縦安定性をやっている部署に具申する、ということをやりました。それ以外に使い勝手など、人間工学的な部分も総合的に判断しています。

----:評価と言っても、ハイエースと乗用車では基準が違う部分もありますね。

渡辺:はい。トヨタでは全社的に「いいクルマづくり」を目指しているわけですが、お客様にとっての「いい」は商用車と乗用車で違いますし、ハイエースの中でもバン、コミューター、ワゴンでは、使われるお客様がぜんぜん違います。そこで我々は常に開発のメンバーとか、営業の方々と一緒に、国内外問わず実際にお客様のところへ行って、いろんな話を聞かせていただき、情報として蓄積し、細かい部分まで評価するようにしています。

◆ 「ハイエースだから買っている」という声

例えば先代(100系)ではウォッシャー液の補充を助手席ドアを開けてやる必要がありましたが、実際に運行前点検をする場合には、それだとやりにくい。だから私たちとしては、フードが開いて、そこから補充出来れば、すごく“売り”になるよねと。それが200系での開閉式フードの採用につながりました。

あと、200系では初めてワイドボディを設定しましたが、これも100系の時に、お客様から話を聞いて、絶対に喜んでもらえるだろうと。それから、もちろんタフであること、つまり耐久性や使いやすさ、利便性は、お客様にものすごく喜んでいただいています。ハイエースは実際、指名買いが多く、特に海外では「ハイエースだから買っている」という声が強いのです。逆にちょっと(お客様の期待とは)違うものを作ってしまうと、すぐにご指摘をいただいてしまう。また、もちろん、良い物なら値段が高くても良い、というわけではないので、共通にできるものは共通にしています。こういったことが、実際に世の中に商品として出て、喜んでもらえている。それが今のハイエースだと思っています。

◆ ハイエースこそ電動スライドドアがあるといい

----:今回のマイナーチェンジでは、スーパーGLを中心に装備も充実しました。

渡辺:いわゆるミニバン風の装備も採用していますが、それはミニバンという考え方からではありません。例えば電動スライドドアは、バン、ワゴンの両方に設定していますが、これは山や海で傾斜のあるところに停めた時に、手動スライドドアだと勢いよく開いたり閉まったりするからです。特にハイエースのドアは軽いし、開口幅も大きいですからね。つまりハイエースだからこそ、電動スライドドアがあるといいんじゃないかと。あと、私も実はミニバンからハイエースに乗り換えたのですが、最近は仕事や趣味だけではなく、小さな子供がいるご家族でも乗るケースが増えています。ですので、今はそういったお客様のことも考えてみる良いタイミングではないかと。

空調については私自身、オートエアコンが選べるからハイエースを買ったのですが(笑)、今回は使い勝手をさらに良くするため、オートエアコンの温度調整スイッチをダイアルに変更しました。また、室内幅があってオーディオも遠くて操作しにくいため、オーディオ操作用にステアリングスイッチを採用しています。

それから今回はスマートキーも採用しました。配送などの業務に携わる方は一日にものすごい回数を乗り降りするので、スマートキーがあれば助かるという話は現場からも聞いていました。また、メーターには(路面凍結を知るための)外気温度計も装備しました。これらはすべて、機能を考えての改良です。

◆ エアロスタビライジングフィンは必ず違いが分かる

----:空力コントロールにもこだわりがありますね。

渡辺:今回はドアミラー基部とリアコンビランプに、エアロスタビライジングフィンを付けました。ハイエースはご存知のようにボクシーなシルエットなので、どうしても横風には弱いと言われますが、これがあるとないとでは(直進安定性が)違ってきます。高速道路だけではなく、常用域でも効果がありますから、お仕事で毎日ハイエースを使っている方が新型に乗り換えれば、必ず違いが分かると思います。こういった運転が楽になるアイテムは、今後もどんどん採用していきたいと思っています。

◆ メーカーとして何をやるべきかを考えてきた結果

----:渡辺さんにとって、ハイエースとはどんなクルマでしょうか。

渡辺:現行モデルは2004年に登場し、2010年にマイナーチェンジし、そして今回再びマイナーチェンジしたわけですが、私自身はこの変化はすごく速く、進化も大きいと思っています。そして、これまで常にお客様を見たり、お客様の話を聞いたりして、メーカーとして何をやるべきかを考えてきた結果が、今のハイエースだと考えています。

また、私たち商品実験部の仕事は、開発が始まって、ラインオフして、発売されたら終わりではなく、その後もずっと続きます。テスト車、テストコースでやったことが、お客様のところで本当に狙い通りに出ているよな、ということをずっと確認し、蓄積しています。そして「次の企画、やるぞ」という時までヒントを貯めておいたり、(市場やニーズの)変化を開発メンバーに伝えたりできるように準備しておくのが、私たちの役割です。今後も、お客様の目線で評価したり、判断したりということを続けてゆくしかない、と思っています。
《丹羽圭@DAYS》

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