自治体主導のサイクルシェア、ビジネスモデル構築へ一歩…さいたま市都市局 都市計画部 田口浩一氏

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地域での移動を助ける自転車は、自治体の後押しで取り組みが大きく進展する。CO2の削減や地域活性化に結びつける目的で、自転車の利用を促す自治体がいくつか存在する。

先日、さいたまクリテリウムbyツールドフランスを開催したさいたま市もそうした自治体のひとつ。世界最高峰のスポーツイベントとしても名高いツールドフランスと連携し、イベントを成功させた。

華やかなイベントは、メディアや観光客に注目を浴びるが、さいたま市は地域で地道な自転車利用の取り組みを進めている。さいたまコミュニティサイクル。自治体主導の自転車シェアリングで、人の移動を助け、環境にも貢献する。

さいたまコミュニティサイクルを担当するさいたま市都市局 都市計画部の田口浩一氏に、取り組みの狙いや実状を聞いた。

◆自転車での地域回遊で活性化

---:さいたま市が自転車シェアリングサービス、コミュニティサイクルをはじめたきっかけを教えてください。

田口氏(以下敬称略):さいたま市の交通に関するスローガンは「自動車に過度に依存しない交通体系の実現を目指します」です。これは、自動車を使わないということではありません。自動車を適切に使うことが前提で、場面に応じたサービスも活用して渋滞の解消やCO2の削減を実現していく、というものです。

特に自転車に関しては、短い距離や荷物がないときなどに利用していただければと考えています。コミュニティサイクルに期待している効果は、クルマによる渋滞の解消に加えて、シェアリングシステムによる自転車窃盗の削減、放置自転車の削減にもつなげていきます。

また、コミュニティサイクルは、2013年内をめどに、大宮駅を中心とした半径約3km圏内に20か所の自転車ポートを用意する予定です。そのポート間を自転車で移動していただくことで市内を回遊してもらい、移動の活性化から地域経済の活性化につなげたいという狙いがあります。

◆素早いスモールスタートから

---:さいたま市コミュニティサイクルの取り組みは、どのようなスケジュールで進んだのでしょうか。

田口:実験を事前に行なっていまして、コミュニティサイクルに需要があることを確認しました。実際に形になったのが2013年5月3日です。最初のポートは4か所で、この半年くらいで利用者数は右肩上がりで伸びています。

---:今稼働しているポート、自転車の台数を教えてください。

田口:12月4日に19か所目のポートが稼働を開始しました。2013年内には20のポートが稼働することになります。利用している自転車は20ポート合計で200台を予定しています。平均すると1ポート10台ですが、利用頻度によってポートに設置してある自転車の台数は異なります。大宮駅西口のポートがハブステーションとなっています。

11月末時点での利用者のべ人数は定額2500円/月が277人、一時利用が1889人、一日利用が2514人です。

これまでの運用で気づいたのは、定額使用に関しては人によって利用時間帯が違うということです。朝、通勤に使う方、昼営業に使う方などの違いがあります。このあたりを把握していくことと、一方で使われていないところについても把握していき、なるべく効率的に使ってもらえるよう調整します。

◆30代ビジネスマンが中心

利用者の傾向としましては、30代が多いですね。通勤に利用される方が多いようです。自転車は小径タイヤを利用していますので、サドルの高さを調整していただければ、幅広くさまざまな方に利用していただけます。

また、いまは大宮駅周辺にポートがありますが、これを浦和駅周辺などに拡大することは可能だと思います。

---:自転車やポートのメンテナンスはどのように行なっていますか。

田口:自転車が盗まれたりすることは今のところないのですが、パンクなどはありました。あとはポートによって自転車台数に偏りがありますので、そのあたりの平準化を行なうということですね。大宮駅西口のポートに軽トラックを用意しており、自転車の台数を平準化するため、自転車が多くあるポートから、少ないポートへ移動させます。自転車の保険はTSマーク(赤色)の付帯保険を採用しています。TSマークの保険のなかでも上級のもので、一台一台加入しています。保険により安全な利用が担保されてはじめてこうしたサービスが行なえます。

◆Suica連動で利用はシームレス

---:支払いにSuicaを使うのですね。

田口:さいたま市のコミュニティサイクルの特徴のひとつが、Suicaを利用して支払いが行なえることです。会員登録はSuicaのカードと携帯電話を持っていれば行なえます。各ポートに精算機とラック(車輪止め)があります。一時利用の場合、最初の30分に100円を払っていただくのですが、お支払いをいただいたのちにラックにSuicaをかざしていただくとラックのカギが外れ、自転車を持ち出せるという仕組みになっています。

---:最近、自転車の走行環境が曖昧でありながら、規制が先に決まっている感があります。

田口:さいたま市には自転車ネットワーク構想というものがありまして、今年度中に計画を作りますが、自転車用の走行空間が分かるよう、道路に青いラインを引いたり、自転車マークをつけたりといった整備を進めようとしています。埼玉大学の前の埼大通りなどではすでに進めています。

コミュニティサイクルを通じて、走る(自然環境)、守る(ルール設定)、停める(ポート整備)という一連のサービスを地域に提供していければ、自動車、自転車、徒歩も含めた移動手段の最適化を促進することに繋がると考えています。安全・安心な自転車の利用を引き続きサポートしていきます。
《土屋篤司》

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