JAXA 惑星分光観測衛星『ひさき』木星・金星を初観測

宇宙 科学

極端紫外線分光装置(EUV)で撮像した木星のスペクトル。観測時刻は平成25年11月19日10:51(日本標準時)。露出時間は5分間。スリット幅は10秒角。左側が視野ガイドカメラ(FOV)の画像で、そのスリットを通り抜けてきた光の極端紫外線分光画像が右側である。右側の図の横軸は波長を表し、左端から右端までがおよそ150ナノメートルから50ナノメートル(1ナノメートルは1ミリメートルの100万分の1)の範囲に対応している。広がって観測されているのは主に地球周辺の大気の光で、そのほかに、木星磁気圏の光や、木星オーロラなども検出されている。
  • 極端紫外線分光装置(EUV)で撮像した木星のスペクトル。観測時刻は平成25年11月19日10:51(日本標準時)。露出時間は5分間。スリット幅は10秒角。左側が視野ガイドカメラ(FOV)の画像で、そのスリットを通り抜けてきた光の極端紫外線分光画像が右側である。右側の図の横軸は波長を表し、左端から右端までがおよそ150ナノメートルから50ナノメートル(1ナノメートルは1ミリメートルの100万分の1)の範囲に対応している。広がって観測されているのは主に地球周辺の大気の光で、そのほかに、木星磁気圏の光や、木星オーロラなども検出されている。
  • 視野ガイドカメラ(FOV)で撮像された月面のクレーターの可視光画像。FOVの動作確認用に10月26日23:34(日本標準時)に取得。中央の暗い線はスリットで、この部分の光はFOVには導入されずに極端紫外線分光装置に入り、分光観測される。「ひさき」は、FOVにより木星・金星といった観測対象天体をこのスリット内に保持するように制御しつつ、スリット内の光を分光装置(EUV)で観測する。
  • 「ひさき」の光学系の概要。主鏡で反射された天体からの放射は、切替可能なスリットを通して極端紫外線分光装置(EUV)に導入されるほか、スリットの裏面で反射されて視野ガイドカメラ(FOV)に導かれ、観測対象天体の高精度での追尾に用いられる。
  • 打ち上げ前に公開された「ひさき」の機体。機体中央には、将来の科学衛星、宇宙探査機の軽量化に役立つと期待されている重さ10分の1の薄膜太陽電池の試験装置、「NESSIE」が搭載されている。観測と同時にこちらの性能試験、実証データ取得も行われている。
JAXA 宇宙航空研究開発機構は、惑星分光観測衛星『ひさき(SPRINT-A)』に搭載された極端紫外線分光装置(EUV)による木星と金星の分光観測を11月19日に行い、装置が正常に機能し、科学観測が可能になったことを確認したと発表した。

「ひさき」は、今年9月14日にイプシロンロケット初号機で打ち上げられた、惑星を専用に観測する衛星。打ち上げ後2カ月は、観測のために衛星の姿勢を制御する装置と観測装置の確認を行う予定としていた。「ひさき」に搭載された極端紫外線望遠鏡(EXCEED)の機能で、対象天体を高精度に追尾する機能、「視野ガイドカメラ(FOV)」はすでに正常に動作すると確認している。今回、EUVもが正常に機能すると確認したことにより、定常観測運用を開始する予定だ。定常運用では、今後2014年1月からはハッブル宇宙望遠鏡などと共に木星の観測を協調して行い、4月以降は日本のX線天文衛星「すざく」、NASAの「チャンドラ」X線観測衛星、ESAのX線天文衛星「XMM-Newton」とも木星の協調観測を行う予定だ。

今回、観測を行った金星は、惑星の周りを取り巻く磁場の渦「磁気圏」が弱く、木星は反対に地球よりもはるかに磁気の力が強いといった違いがあることがわかっているという。「ひさき」は、「極端紫外光」と呼ばれる波長がごく短く、地球上では大気に吸収されてしまうため観測が困難な紫外線を利用して、木星、金星や今後は火星の磁気圏の観測を行うことを目的としている。
《秋山 文野》

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