【アウディツインカップ13】緊張感と静寂の中での整備部門日本一決定戦は裏方スタッフの晴れ舞台

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車両のチェックなどを行うサービス部門の競技の様子。個人戦であるため会話もなく淡々としているが、競技者の頭のなかは大変なことになっていたらしい。
  • 車両のチェックなどを行うサービス部門の競技の様子。個人戦であるため会話もなく淡々としているが、競技者の頭のなかは大変なことになっていたらしい。
  • 会場となった大阪のホテル。ここで自動車修理の競技会が行われるとは誰が思うだろうか。アウディにとっても新しい試みであったそうだ。
  • 修理を行うテクノロジー部門は車両に接続したテスターによる解析が勝負を分ける頭脳戦。もちろん故障はテスターに直接出ない部分に仕掛けられている。
  • ブースの奥に工具が用意されたい多様なので見てみると、このようなものだった。テスターの車種別のアダプタか何かだろうか。とにかくデジタル機器一色の修理作業に時代を感じる。
  • 修理作業は完全に終了させなければならない。修理作業が終わったらサービス用のカバーを急いで片付ける。
  • 競技中は冷静さを保っていた競技者が、退場のときには応援席に向かって歓喜のガッツポーズ。力を出しきれたようだ。
  • 競技終了後の講評。丁寧な解説に聞き入る整備士たち。
  • 会場を変えてドライビングエクスペリエンスを受講。競技は終わったのでみんなリラックスした雰囲気だ。
自動車販売のサービス部門というのはなかなかに厳しい職場だ。

どんなに難しい故障も直って当たり前。最高の仕事が普通と評価されてしまう宿命の仕事である。

販売成績を左右する極めて重要な部門でありながら、あくまで裏方であり、普段は注目されることもない。そんなサービス部門がスポットライトを浴びるのが、各メーカーが実施しているサービス技能コンテスト。今回はアウディの開催する「Audi Twin Cup 2013 ジャパンファイナル」を取材した。


◆高級ホテルで繰り広げられるガチンコ勝負

取材でまず最初に驚いたのが、その会場。大阪の高級ホテルで開催するという。普段は結婚式や祝賀パーティをしているであろうバンケットルームでサービス技能コンテストとは、さすがアウディというべきか。サービス部門のスタッフにとってはまさに晴れ舞台といったところだろう。

競技は車両のチェックなどを行うサービス部門と、故障を修理するテクノロジー部門の2部門がある。修理といってもホテルにガレージジャッキや巨大なツールキャビネットを持ち込むわけではなく、使用するのは専用テスターなどのデジタル機器ばかりだ。いまどきの自動車はコンピューター仕掛けと知ってはいたつもりだったが、ここまでとは思わなかった。実際の業務はまた別だろうが、少なくともここではオイルで手を真っ黒にするような作業はない。

実際の競技を見た印象は、2部門あるどちらもとにかく静かだということ。競技者は無言か、会話をしてもひそひそ話レベルの声しか出さない。各店舗からやってきている応援団もほとんど無言だ。当然ながら実況中継があるわけでもないし、傍目で見ていても何がなんだか分からない。退屈を通り越して不気味な印象さえ抱いてしまうが、それも最初だけのことだ。


◆壁の無い冷戦

競技内容の説明を受け、競技者が何をしているのか基本的な部分だけでも分かってくると、印象はガラリと変わる。どの競技者も難易度の高い課題に必死で取り組んでいるのだ。小さな声しか出さないのは隣のブースに聞こえてはマズイからだろう。応援団が不用意に声を上げないのも同じ理由と思われる。静かでも実は激しい熱戦が展開されているのだ。

ドラマチックという意味ではやはり実際に故障を直すテクノロジー部門に見応えがあった。エンジン始動不能というトラブルのため、エンジンがかかれば修理出来たとすぐに分かる。いつエンジンがかかるのか? 見た目には地味な戦いだが、状況がわかってくると手に汗握るスリリングさを味わえる。


◆ドライビングエクスペリエンスで親睦も 競技後の充実したプログラム

競技のあとは昼食を挟んで講評があり、課題の「答え合わせ」が行われる。これを聞いてから競技のことを思い出すと、ああそういうことだったのかとまた一歩理解が深まって面白い。もっとも、筆者は気楽な観戦者だから面白がっていられるが、実際に参加した競技者の中には「しまった」と唇を噛んだ人もいるかもしれない。

講評のあとは出場した競技者と応援団、さらに筆者を含む取材陣まで対象にしたドライビングエクスペリエンスが実施された。ドライビングエクスペリエンスとは、通常はオーナー向けに実施されている安全運転講習で、急制動、急制動同時回避、ダブルレーンチェンジ、スラロームなどを行う。

もちろん、整備士や営業マンにもそれなりの運転技術が必要という名目で実施しているはずだが、実質的にはジャパンファイナルまで勝ち残った整備士へのボーナス、あるいは懇親会のようなものといえるかもしれない。実際、競技中とは打って変わってあちこちに笑顔が見える和やかな雰囲気だった。ちなみに筆者は『TT RSプラスクーペ』で急制動同時回避に挑戦するという貴重な体験をさせていただいた。


◆さらなる世界の舞台へ

このジャパンファイルの2部門それぞれの優勝者は、来年開催される世界大会に日本代表として出場し、世界を相手に戦う。日本はテクノロジー部門での優勝した実績があるものの、両部門の総合では優勝経験がなく、アウディ・ジャパンの大きな目標になっている。出場する日本代表選手には、サービス部門が世界の檜舞台で戦えるこのチャンスを活かし、存分に戦って欲しい。
《山田正昭》

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