ANA、羽田発着枠を利用し首都圏国際線網の完成目指す

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ANA、「次期中期経営戦略の方向性について」を策定
  • ANA、「次期中期経営戦略の方向性について」を策定

ANAホールディングスは、激化する航空業界を勝ち抜き、成長を実現するための指針「次期中期経営戦略の方向性について」を策定した。

同社では、当面の最大のビジネスチャンスとなる2014年の羽田空港国際線発着枠拡大を起爆剤に、日本とアジアの成長を大きく取り込むため、最適な事業ポートフォリオを描くとともに、コスト構造改革を推進、グループ収益の最大化を目指す。

加えて、2020年東京オリンピックに向けた首都圏空港の機能強化、産業競争力強化、訪日外国人2000万人達成といった各種取組み・目標の中で商機を見出し、将来の成長に向けた準備を進める方針。

ANA国際線旅客事業では、羽田発着枠が11枠拡大するのを機に、首都圏国際線ネットワークの当面の完成型を構築する。「羽田最大の国際線ネットワークキャリア」の優位性を活かし、高単価な首都圏発着のビジネス需要と、地方発着需要を獲得していく。加盟しているスターアライアンスを効果的に活用し、成田での接続ネットワークを構築、アジア~北米間のグローバル流動を確保する。

また、フルサービスキャリアとして、プロダクト&サービスによる差別化を推進する。為替環境も踏まえ、海外マーケティングを強化し、非日系旅客を積極的に取り込んでいく。

ANA国内線旅客事業では、新幹線延伸やLCC(格安航空会社)参入などによる競争環境の変化に対応し、収益性を堅持する。柔軟な機材配置による需給適合と、リソースの最大活用により、運航コストを抑制する。燃油費高止まりの中、自助努力を超えるコスト負担も踏まえた戦略的な運賃を設定していく。

貨物事業では、フレイターと旅客機を持つコンビネーションキャリアの強みを活かして、事業会社として「ANAカーゴ」を立ち上げ、貨物事業を旅客事業と並ぶコア事業に発展させる。ネットワーク拡充や機材稼働率向上により、貨物事業収支を早期に黒字化していくほか、日本貨物航空やルフトハンザ、ヤマトホールディングスなどとの提携を深化させる。

LCC事業では、これまで展開してきたエアアジア・ジャパンの経験から学んだことを活かしながら、日本を含めた東アジアでマーケットを創出し、早期に収益事業としての基盤確立を目指す。首都圏マーケットでは11月1日からバニラ・エアが販売を開始し、リゾート地を中心とした国際線を展開、早期黒字化を目指す。

ピーチ・アビエーションは関西圏での成功をベースに、ネットワーク拡充により事業基盤を強化する。

航空関連事業では、高い経済成長が期待されるアジアで、航空需要に加え、航空会社数や航空機数も飛躍的に増加することが見込まれている。これら潜在需要を同社グループの成長の糧とするため、戦略的投資を行い事業基盤を強化する。

アジアの航空事業拡大に伴い、旺盛になることが見込まれる整備需要を視野に入れて、沖縄県那覇空港で航空機整備事業へ本格参入する。

一方、現行中期戦略で掲げた「1000億円のコスト構造改革」については、外部環境変化を踏まえて間接人員削減やコストターゲットの追求など、各施策を見直し、当初計画どおり2014年度中の完遂を目指す。

同社の次期経営戦略は、諸環境の状況を見極めながら、2014年1月末を目途に成案化していく予定。

《レスポンス編集部》

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