アウディ、拡大するターボチャージャー採用は“最良の解決策”

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アウディ RS6・アバント
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  • クワトロ社 RSモデルプロダクトマネージャー ミヒャエル・ベルヒトールド氏
  • アウディ・RS Q3
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「今後自然吸気のエンジンは無くなり、ターボチャージャーを搭載したエンジンに置き換わっていく」。アウディの100%子会社であるクワトロ社で、アウディの高性能モデルであるRSモデルのプロダクトマネージャーを務めるミヒャエル・ベルヒトールド氏が語った。

自然吸気は"エンジンのあるべき姿"だが…

「確かに、低回転域から高回転域まで一定の出力曲線を描くことができる自然吸気は"エンジンのあるべき姿"だと思います。ターボチャージャーはその特性上、ある回転数から一気に出力のピークがやってくるため非常に"ムラ"があります。ただ、それも以前の話です。確かに自然吸気の良さは均等な出力にあるのですが、現在は技術の向上により、ターボチャージャーの"ムラ"は解消され、自然吸気とターボチャージャーに差が無くなってきた。その上で効率を追求していくと、われわれはターボチャージャーを搭載せざるを得ません」

トヨタ『86』/スバル『BRZ』に代表されるように、特にライトウェイトスポーツカーにおける自然吸気エンジンの人気は依然として強い。86チーフエンジニアの多田哲哉氏は「ターボを否定するところから開発を始めた」とさえ言っている。一方で、ターボチャージャーの用途は、ハイパフォーマンスカーにおける"モアパワー"を目的としたものだけではなく、低排気量車の出力向上および環境性能向上を主目的としたいわゆるダウンサイジングターボと呼ばれるものへと移行しつつある。例を挙げると、ジャガー『XJ』やフォード『エクスプローラー』などが、そのセグメントでは革新的とも言える2リットルの4気筒ターボエンジンを搭載している。

顧客が求めるのは"パフォーマンス"

現在のアウディRSモデルは、『RS4』と『RS5』を除いたすべてのモデルにターボチャージャーが搭載されている。また、以前は5リットルのV型10気筒エンジンを搭載していた『RS6』が、新型では4リットルV型8気筒エンジンに置き換わるなど、ダウンサイジング化の傾向も見られる。ベルヒトールド氏は「(ダウンサイジングターボの傾向は)アウディに限った話ではなく、自動車業界全体のトレンドである」とした上で次のように続けた。

「顧客が求めるのはあくまでも"パフォーマンス"です。それを満たすためには何をすべきか。答えは簡単で、出力を上げるか、軽量化をすれば良いのです。もちろん、その2つが同時に達成できれば言うことはありません。ダウンサイジングターボは出力の向上と軽量化を両立させる現時点で最良の解決策です」

いずれは4気筒ターボエンジンに?

「V型10気筒からV型8気筒にダウンサイジングしたRS6は、先代とほぼ同水準の最大出力を維持しつつ最大トルクは向上しています。その上で約90kgもの軽量化を果たしています。その結果、0-100km/hは先代の4.6秒を大幅に上回る3.9秒としたほか、10.2km/リットル(欧州複合モード燃費)という環境性能をも獲得しています。このように、パフォーマンス向上のために効率を追求していくと、いずれRS6に4気筒ターボエンジンが搭載されることがあっても不思議ではありません。2030年頃になるかもしれませんけどね。以前のF1は4気筒ターボエンジンで1000PS超を出していたのだから無理な話ではありません」

アウディは"Vorsprung durch Technik(技術による先進)"を創業以来のブランドアイデンティティとしており、RSモデルではその考えを具現化する。モータースポーツへの積極的な参戦なども、すべてそのブランドアイデンティティに基づくものであるという。アウディにとってはパフォーマンスの向上こそが至上命題であり、その達成にはエンジン種別や気筒の数はそれほど意味を成さない。それらを踏まえた上で、ベルヒトールド氏は「自然吸気は今後ターボチャージャーに置き換わっていくでしょう」と今後の展望を語った。

《瓜生洋明》

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