東レ、米国のラージトウ炭素繊維メーカーを580億円で買収、自動車構造材向け需要を開拓

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東レは、米国のラージトウ炭素繊維メーカーのゾルテック・カンパニーを買収することで合意したと発表した。自動車構造材向け炭素繊維の需要を開拓する。

東レは、ゾルテックの全株式を1株あたり16.75ドル、総額約5億8400万ドル(約580億円)で取得する。

炭素繊維の世界需要は、軽量化による省エネ、石油・石炭代替エネルギーの普及に貢献する素材として、今後も年率15%以上の成長が期待されている。航空機用途に代表される高機能・高品質なレギュラートウ炭素繊維の需要が拡大する一方で、風力発電関連用途や今後の拡大が見込まれる自動車構造体用途では、コストと性能のバランスからラージトウ炭素繊維の採用拡大が見込まれている。

東レはこれまで、レギュラートウ炭素繊維に経営資源を集中することで、ボーイング787向けをはじめとする航空機や天然ガス圧力容器などの先端分野で強みを発揮してきた。しかし、ラージトウ炭素繊維の品揃えがなく、自動車構造体用途など、より汎用性の高い産業分野の取り込みがが課題だった。

ゾルテックは1988年にラージトウ炭素繊維事業に参入し、1996年にハンガリー、2007年にメキシコのアクリル繊維工場を買収して、ラージトウ炭素繊維の需要開拓を進めてきた。最近は、風力発電関連用途需要の伸張に伴って事業・業績を大きく拡大してきた。

今回、東レはゾルテック買収により、自動車構造材向け炭素繊維需要の取り込みを狙う。ゾルテックは東レのネットワークや自動車メーカーに対する営業力を活用して事業拡大を狙う。

東レは、炭素繊維複合材料事業を戦略的拡大事業と位置づけており、経営資源を積極投入して事業拡大を進めている。

《レスポンス編集部》

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