マレーシアの犯罪防止法改正案、2年間の拘留が可能に

組織犯罪の処罰に関する複数の法律の改正審議が9月25日、国会で始まった。1959年犯罪防止法の改正案が、下院議会に提出された。ザ・スターなどが報じた。

エマージング・マーケット 東南アジア

組織犯罪の処罰に関する複数の法律の改正審議が9月25日、国会で始まった。1959年犯罪防止法の改正案が、下院議会に提出された。ザ・スターなどが報じた。

犯罪防止法の改正では、裁判なしに最高で2年間、公共利益や安全、犯罪防止のため犯罪容疑者を拘束することを認める。廃止されていた緊急措置法(EO)や国内治安維持法(ISA)と同様の内容になる。

改正法の下で、犯罪防止評議会を設立する。犯罪防止評議会は、拘留命令の発行や高等裁判所における審議の対象となるか決定する。評議員はヤン・ディペルトゥアン・アゴン(国王)が指名する。警察は、再拘留された容疑者に対する電子監視装置の使用を認める。内務省は、拘留命令についての年間報告書を議会に提出する。拘留命令は5年ごとに見直しを行う。

EOは1969年5月に起きた民族間の衝突事件の際、犯罪シンジケートのリーダーや中心人物などの犯罪容疑者を拘束するために制定された。適用されると裁判なしに2年間容疑者を拘束できるため人権侵害との批判の声が上がり、2011年に廃止された。EOの廃止により多くの凶悪犯罪容疑者が自由の身となり、一般社会にまぎれて犯罪行為を行っていると見られている。EOの廃止でおよそ2000人の犯罪歴のある容疑者が釈放されている。

犯罪防止法の改正案が提出されたことに対して、人権委員会(SUHAKAM)は事前に意見を求めなかったことに遺憾の意を示した上で、国連の人権基準に則っている限りは支持するとコメント。野党・民主行動党(DAP)のリム・グアンエン書記長は、自由な国を目指すというナジブ・ラザク首相の方針に反していると指摘。EOやISAの名前を変えただけで、同じ法律を制定しようとしていると述べた。

広瀬やよい

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