マレーシアセランゴール州のある小学校でラマダン(断食月)期間中に非イスラム教徒の生徒がトイレに隣接する更衣室で食事させられていた事件は、教育省の中止命令によって一応の解決をみたものの、今度は告発者に対する各方面からの嫌がらせによって泥沼化の様相を呈している。マレーシアン・インサイダーが報じた。
すでに嫌がらせに耐え兼ねて生徒3人が転校、更に10人が転校する意向だという。
問題が起きたのはスンガイブローにあるセリ・プリスティナ小学校で、非イスラム生徒の親が告発したために表沙汰となった。批判を受けて教育省が指導に乗りだし、食堂脇のスペースで食べられるようになり、校長が停職処分を受けた。同校の在校生は1000人以上で、非イスラムの生徒はわずか28人だった。
しかし事件直後から、告発した非イスラム教徒の生徒と保護者に対する嫌がらせが始まり、「誘拐する」あるいは「殺す」といった脅迫状が送り付けられた。その一方で、問題の校長は何ら処分が科されなかったという。非イスラム生徒の保護者らが不満を強める中、事態はエスカレートし保護者の一人、V.クマンカンさんが校長を脅迫した容疑で逮捕される事件が起きた。クマンカンさんは警察に被害届を出しに行ったところ逮捕された。脅迫容疑を否認し現在は保釈されているが、起訴される見通しだという。
スンガイ・ブロー警察署はクマンカンさんの逮捕を職務手続き通りに行なっただけで不公平ではないと説明しているが、警察が保護者に許可なしにあるインド系生徒に質問していたことも発覚。保護者らは不信感を募らせている。
イスラム権利団体などは「更衣室食事事件」直後から校長の措置を支持する声明を出すなど学校側の措置を支援、教育省も事態を放置したままにしており、非イスラム生徒の保護者を支援している野党などが批判を強めている。