好調のプチバン市場に地殻変動? 軽自動車優遇見直しで購入意向に影響6割

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トヨタ・ポルテ Xグレード(ボディカラー:スーパーレッドV)
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イードは6月27日、ホンダ『N BOX』など、スライドドアや背高・室内の広さといった“ミニバン”的要素を持つコンパクトカーを“プチバン”と位置づけ、好調の理由を探るため、対象車種を保有する1000名に調査を実施。その結果となる「プチバン保有者1000名調査」を公表した。

プチバンは軽自動車と登録車が混在するカテゴリー

各メーカーが相次いで新型車を投入するプチバン市場、新車販売台数(2013年5月:自販連・全軽自協調べ)のトップ10では、好調のN BOXを筆頭にダイハツ『タント』、スズキ『スペーシア』の3車種がランクインするなどHVに並ぶ注目のカテゴリーと言える。これは、軽自動車にとどまらず、同種のコンセプトを持つ登録車であるトヨタ『ポルテ』『スペイド』やスズキ『ソリオ』もヒット作となっており、プチバン市場は、登録車と軽自動車が混在する珍しいカテゴリーとなっている。

プチバン対象車種(イード選定)
登録車:トヨタ『スペイド』、『ポルテ』、ホンダ『フリードスパイク』、『フリードスパイクハイブリッド』、スズキ『ソリオ』、三菱『デリカD:2』
軽自動車:ホンダ『N BOX』、ダイハツ『タント』、スズキ『スペーシア』、『パレット』、日産『ルークス』、『オッティ』、三菱『ekワゴン』、マツダ『フレアワゴン』

自動車関連の保険と税制に関しての認知は半数以下

2013年4月からの自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の保険料見直しについて聞くと、「聞いたことがあり、内容も知っている」が10.5%とかなり低く、「内容は詳しく知らないが、聞いたことはある」の35.0%をあわせても45.5%と半数を下回る結果となった。

また、日本がTPPに参加する場合など、軽自動車の税制優遇見直しの動きがあることについての認知度は「聞いたことがあり、内容も知っている」7.9%、「内容は詳しく知らないが、聞いたことはある」34.0%で、あわせて41.9%となった。

保険と税制の見直しは購入意向の6割以上に影響。軽自動車保有者は7割以上

自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の保険料見直しで、軽自動車と登録車の保険料の差額が縮まっている点や軽自動車の税制優遇見直しの動きなど、税金や保険などのコスト面での差をなくす動きがあることが、購入意向に対して、「非常に影響する」15.0%、「影響する」48.5%と答えた人が全体の6割以上という結果となった。

登録車保有者では「非常に影響する」が8.4%、「影響する」が46.4%、軽自動車保有者では「非常に影響する」が21.6%、「影響する」が50.6%と、コストに関する点を重視する傾向にある軽自動車所有者に、より影響が大きいことがわかった。

プチバン購入のきっかけはライフステージの変化

プチバンを購入したきっかけについて聞いたところ、全体では、1位「運転が楽な車が欲しくなった」15.5%、2位「子供が生まれる(生まれた)」14.4%、同率2位「実際に試乗してみて気に入ったから」14.4%となった。

年代別の差をみると、20代は「子供が生まれる(生まれた)」27.0%、「移動に車が必要になる(なった)」20.5%、「結婚する(した)」17.5%、「就職する(した)・仕事が変わる(変わった)」9.0%、30代は「子供が生まれる(生まれた)」29.5%、60代は「運転が楽な車が欲しくなった」26%、「仕事を定年退職する(した)11.0%といった項目が高くなった。

プチバン購入のきっかけとしては、ライフステージの変化(「就職」「結婚」「出産」「定年」)が影響している結果となり、幅広い年齢層が、それぞれのライフスタイルにあわせてプチバンを選んでいることがわかった。

プチバン満足度は8割以上

購入後の満足度について質問したところ、60代が83.35点、20代が82.78点と特に満足度が高く、その他の年代でも全て8割以上が満足している結果となった。性別では90点以上をつけた人が男性8.8%、女性21.2%となっており、さらに平均点でも女性が3.9点高い結果となった。

プチバン購入時の重視項目は「車内が広い」「スライドドア」「運転操作のしやすさ」 

プチバン購入時に重視した項目に関しては、全体では、1位「車内が広いこと」67.2%、2位「スライドドアであること」44.5%、3位「運転操作のしやすさ」44.0%と、プチバンの特徴である項目が選ばれた。

さらに、軽自動車と登録車の差をみると、登録車は「スライドドアが電動であること」37.2%、「ウォークスルー(前席と後席の間で車内を移動できる)」20.6%や、「普段にもレジャーにも使えること」21.0%が軽自動車よりもポイントが高く、軽自動車では「税金や保険などの維持費が安いこと」49.6%、「燃費の良さ」51.0%、「小回りの良さ」41.8%の項目で、登録車に対し大きな差があり、コンパクトカーは「使い勝手重視」、軽自動車は「コスト重視」といった傾向がみられる。

プチバン購入後の満足ポイントは「車内が広い」「運転操作のしやすさ」「ドア開口部の広さ」

購入後の満足ポイントについて、全体では、1位「車内が広いこと」(87.2%)、2位「運転操作のしやすさ」(85.3%)、3位「ドア開口部の広さ」(84.7%)の満足度が高くなった。

軽自動車と登録車の差を見てみると、「ウォークスルー」の満足度に関しては、登録車:68.2%、軽自動車:28.2%と、「税金や保険などの維持費が安いこと」では、登録車:47.2%、軽自動車:84.0%、「視界の良さ」では、登録車:66.6%、軽自動車:87.0%、「車内で体を伸ばして寝られること」では、登録車:44.6%、軽自動車:30.0%、と満足しているポイントに大きな差が出ていて、軽自動車と登録車では、購入後の満足ポイントに違いがある。

プチバン購入時における主な使用目的は「普段使い」が6割

プチバンを購入する際の主な使用目的については、全体的に、普段使いを重視する傾向(普段使い39.3%、やや普段使い20.7% 合計60%)にあるが、軽自動車と登録車で比べると、軽自動車は「普段使い」が46.8%と高いのに比べ、登録車では、「普段使い」だけでなく、「普段使いとレジャーの両方」31.6%、「レジャー使い」16.2%と、レジャー使いも重視する傾向があった。

プチバン購入時、約3割の人が登録車と軽自動車を横並びで検討…特に20代と40代男性は、高い傾向

購入の際、全体の32.3%の人が登録車と軽自動車を横並びに検討していたことがわかった。登録車所有の20代の57.6%が軽自動車と比較検討しており、軽自動車所有の40代男性の42.9%が登録車と比較検討しており、コストパフォーマンス意識が高く、実用性を重視する、20代と40代男性は、登録車と軽自動車を横並びで比較する人が多いことが判明した。

登録車を選ばなかった理由と軽自動車を選ばなかった理由に大きな差

プチバンカテゴリーの中で、登録車保有者が軽自動車にしなかった理由としては、「安全面が不安だったから」(25.7%)、「車両が小さいから」(23.2%)、「室内が狭いから」(22.8%)、「エンジンの性能が不満だったから(加速など)」(20.6%)といった点が高く、安全性や広さを重視している。

一方、軽自動車保有者が登録車にしなかった理由としては、「税金・保険含め、維持費が高いから」(41.2%)、「税金・保険含め、購入時の経費が高いから」(33.6%)、「車両価格が高かったから」(29.0%)といった、主にコストに関する点を重視している。

これらの調査結果により、報告書ではプチバンの購入のきっかけはライフステージの変化が影響し、子供が生まれたことをきっかけに、保育園や幼稚園への送迎や、普段の買い物で使い勝手の良さを考える人や、定年をきっかけに運転が楽な車を求める人がプチバンを購入し、8割以上が満足感を得ているとした。

また、プチバンカテゴリーの中において、登録車保有者と軽自動車保有者では、購入時の重視点、購入後の利用状況等について違いがあり、登録車保有者は日常使いだけでなく、レジャーでの使用意向も高く、さらに安全面に対して重視する傾向がある。一方、軽自動車保有者は、主に日常使いをメインとして考え、全体的に税金や維持費などコスト面を重視している傾向がみられた。

さらに、軽自動車優遇の見直しの動きがあることについての認知度は低い結果となったが、プチバン購入時に登録車と軽自動車を横並びで検討している人が3割いることから、今後、これらの情報の周知が進んだ場合プチバンカテゴリー内での車選びに変化が起きてくる可能性があるのではないかと分析している。

プチバン保有者の意向に関する調査
調査期間:2013年5月21日~31日
調査対象:日本全国20~60代男女、プチバン保有者
有効回答数:計1000名
(年代別:20代200名、30代200名、40代200名、50代200名、60代200名、性別:男性500名、女性500名)

《レスポンス編集部》

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