日産自動車のカルロス・ゴーン社長は6月25日に横浜市内で開催した株主総会で、現在の為替水準について「あくまで中立的な水準。逆風が取り除かれただけであり、追い風が吹いているわけではない」との認識を示した。
ゴーン社長は「これまで日本政府による円高是正に向けた取り組みを強く訴えてきた。最近になってようやく日本円が中立的な水準を回復し、大変うれしく思う」と政府の取り組みを評価した。
しかし「中立的な水準とは1ドル100円相当で、これは有利でも不利でもない中立的なレベル。現在の為替は追い風にはなっていない。忘れてはならないのは金融危機が発生した2008年以前のドル円レートの平均が110円だったという事実。歴史的な平均である110円からほど遠い水準」と強調した。
さらに「為替変動に伴っての生産戦略に変更はない。なぜなら日産は為替影響を最小限に抑え、為替がどうあれ維持できる体制を目指しているから。従って(コミットメントである)国内生産100万台は維持していく。これは日本政府の取り組みによって実現される競争力の高い為替のおかげで以前より達しやすくなる」と述べた。