高速道路通行料金の値下げが進まないことに、オートバイユーザーや業界団体の不満が募っている。
料金の車種区分は、東名、名神などNEXCO系高速道路で5種類、首都高速や阪神高速などの都市高速では2種類にしか分かれていない。そのため二輪車の通行料金は、NEXCO系では軽自動車と同じ区分で普通車の80%、都市高速では8トン未満のトラックや定員29人以下のバスと同率の通行料を支払う。
メーカーが加盟する日本自動車工業会では、「高速道路の二輪車料金適正化」という表現で、引き下げを求める要望が毎年提出されている。また、二輪車ユーザーを含めた団体である日本二輪車協会も同様の意見を表明している。
しかし、高速道路通行料金は、民主党政権で通行料全体の無料化について議論されたことはあるが、車種区分見直しが検討されたことは過去にはない。このことに関係団体は苛立ちを募らせているのだ。
オートバイ販売店の全国組織「全国オートバイ協同組合連合会」の吉田純一会長は24日のメディア向け懇談会の中でこう訴えた。
「通行料金の引き下げができないなら、ETC助成金を復活してほしい。このことは与党とも折衝を続けています」
二輪車のETCサービスは四輪車よりも8年遅れで始まった。その価格はメーカー補償条件である指定店舗での取付費用を含めると、最低でも3万円前後と高止まりが続いている。車載器を取り付けていないオートバイユーザーの一人は、その理由をこう話す。
「支払う料金は同じなのに、そのための車載器は四輪車より何倍も高い。とても公平な料金制度とは思えない」
高速道路各社は、通行料金の車種区分は、利用車が通行により道路を損傷する割合などの応じて定めているが、細分化すると料金収受の効率化を妨げることを理由に難色を示していた。しかし、ETC利用率が90パーセントに近づき、時間帯割引が日常となった現在でも、その車種区分は見直されることがない。
近年の高速道路各社の車種区分説明は、道路損傷に加えて、オートバイも四輪車も、走行中に道路占有する空間が変わらないため、料金は同じという理由を挙げている。
そのため関係者は、せめてETC車載器普及させることに力を向け始めた。四輪車でみれば、高速道路でのETC利用率は限界値に近づき定着したかのように思えるが、オートバイユーザーにとっては、まだまだ今日的な課題として認識されているようだ。