スバルはなぜ BRZ でソニックデザインのスピーカーを純正オプションに採用したのか

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富士重工業 スバル部品用品開発本部 用品開発部 坂本浩氏
  • 富士重工業 スバル部品用品開発本部 用品開発部 坂本浩氏
  • スバル BRZの純正ディラーオプションとして採用されたソニックデザインの4スピーカーセット(5万8275円 工賃・ハーネス別)
  • 河口まなぶ氏
  • CAR DO SUBARU 三鷹の販売一課 野口亮吉氏
  • ソニックデザイン 代表取締役社長 佐藤敬守氏
  • ソニックデザインのスピーカーをインスト-ルしたBRZのスピーカーグリル。グリルは純正をそのまま使うため、外からではスピカーを交換していることは全く分からないが、聴けばその差は歴然だという。
  • CAR DO SUBARU 三鷹に展示されているBRZ
  • スバル BRZ

いまスバルBRZオーナーの間で話題になっているブランドが「ソニックデザイン」である。

◆5万円台で販売されるハイエンドカーオーディオブランドのスピーカーセット

ソニックデザインは、いまから数えること13年前の2000年に設立された、“日本で唯一のカーオーディオ専業メーカー”であり、近年はメルセデスベンツ日本の純正オプションに採用されるなど、ハイエンドのカーオーディオで名を馳せてきたブランドだ。

そんなソニックデザインがなぜBRZオーナーの間で話題なのかというと、同社の製品である4スピーカーセット(77mmマイクロスピーカー+18mmドームツィーターの左右セット)がスバルのDOP(ディーラーオプション)として採用され、オーナーの間で口コミで評判となっているからである。

しかも! ハイエンドのカーオーディオメーカーの製品であるにも関わらず、価格はなんと5万8275円と安価な上に、純正スピーカーとボルトオンで簡単に交換できる専用設計を採用している。

◆音質と耐久性を追求した結果のフルエンクロージャー

通常、オーディオをイジって多少なりともこだわろうとすると、スピーカーを交換するだけでもツイーターの置き場を調整したり、ドアをデッドニングしたり…、とかなり高額になる上に、手間も相当にかかる。しかしソニックデザインの4スピーカーセットは、画期的なフルエンクロージャー方式を採用したことによって交換を容易にしたのがトピックだ。

さらにこのフルエンクロージャー方式は、室内への不要な振動を抑えて優れた音質を提供し、高温/多湿/埃等をシャットアウトすることで高い耐久性を実現している。そして何といってもその構造によって、車外への音漏れを防ぎながら優れたサウンドを楽しめるという、いままでにありそうでなかった製品として話題になっているのだ。

◆音質にこだわるスバルユーザーのニーズとマッチした

富士重工業で国内向けモデルの用品を担当し、実際にこのソニックデザインの4スピーカーシステムを純正のディーラーオプション(DOP)として採用することを決めた坂本浩さんは言う。

「スバルユーザーはそもそもカスタマイズ志向が強いのです。ですから以前から様々なモデルで、スピーカーの音に対するご意見をいただいておりましたし、デッドニングをディーラーでできないか? とも言われていました。しかしデッドニング作業は作業品質が製品品質に関わってしまう問題がありました。そうした中で様々な製品を探っている時に、東京オートサロンでソニックデザインさんを知り、コンタクトしたのです」

既に下地があり、そこに打ってつけのソニックデザインがあった。坂本さんは続ける。

「またお客様の中には、ホームオーディオに懲りたいけれど、何かと制約も多いし、高額になってしまう。それならクルマの中で ちょっと贅沢をして音を楽しみたい、というニーズが結構あるのです。さらに言えばBRZという新しい商品で、これまでなかった新しい取り組みをしたいと考えていたので、この商品がピタリとハマったのです」

実際に現場でお客様とコミュニケーションしているCAR DO SUBARU三鷹の野口亮吉さんも「お客様のお問い合わせに答えられるよう自分でも試聴研修を受けましたが、聞けばすぐに違いが判るので商品として扱いやすいです。また価格的にもおすすめですし、ヘッドユニットを替えずに使える点もおすすめです」という。

◆音質だけでなく取り付け品質に配慮

ソニックデザインの佐藤敬守さんは、「ホームオーディオは四角い部屋で、スピーカーを定位させたうえで聴くものです。しかし、それをクルマの中で実現するのは極めて困難です。ドアにスピーカーをつけて、車内をホールに見立てるわけですが、共振など様々な要素で音が変わってしまいます。クルマの中の空間は、ホームオーディオで換算すると一畳分程度。実際のホームオーディオだと10畳分くらいのものになる。つまり車内ならスピーカーが大きい必要がないので、小さなエンクロージャーで作ることができます。そこでフルエンクロージャー方式という特許を考えたのです」

佐藤さん曰く、日本には基本的にホームオーディオ志向の強いメーカーしかなく、クルマについているスピーカーもホームオーディオ的な設計のものが大半だ。それだけにこれまで、この市場は開拓されていなかったという。そしてこのことがカーオーディオメーカーであるソニックデザインに好機をもたらしたというわけだ。

「しかも従来のようにドアをデッドニングすると作業に数日はかかります。ですが、フルエンクロージャー方式にしてパッケージングにすればボルトオンでディーラーで取り付けられる。どのお店で誰がつけても品質が均一になるという長所もあります。そして後のトラブルも発生しにくいのです。

しかし何より、そもそもスバルにはクルマ創りへのこだわりがあって、それがお客様のニーズに見事ミートしていたので、このブランドと一緒に製品作りができたらと考えていました。このブランドのお客様には判ってもらえる、と思ったのです」

◆一聴すればその差は歴然

実際に僕も、このソニックデザインの4スピーカーセットを装着したBRZで音を聞いたが、この価格でこの音! と感じ入って、思わず自分でも注文をしたほど(笑)。実は僕、音にはそれほどこだわりがなかったのだが、実際に聞いて価格を知って「これなら」と思った。この気軽さも、ソニックデザインの最大の武器といえるだろう。

誕生のきっかけも、構造も、価格も、そして音も、全てに目鱗があるのがこのソニックデザインの製品。だからこそ、こだわりのあるスバルの、さらにこだわりのあるスポーツカーであるBRZオーナーの間で、話題になっているのがうなづけるのである。
 

《河口まなぶ》

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