欧州宇宙機関(ESA)は2月8日、南極大陸のオゾン層の穴が小さくなっていることを示す観測衛星のデータを動画と共に発表した。
ヨーロッパの気象衛星、MetOpのオゾンセンサーのデータによると、2012年に南極大陸の上空にあるオゾン層の穴が、過去10年間において一番小さくなっていることが観測された。
1980年代初頭よりオゾン層の穴は南半球の春(9月から11月)の間に発達し、オゾン濃度を70%にまで減らしていた。オゾンの枯渇は北極よりも南極大陸の方がより極端になっている。風が冷たい空気に高速で回転する渦巻きを作り出す原因となり、それが極度の低温状態となることでオゾン層を破壊する。併せて人間の作り出したフロンガスはより強い影響をオゾンにもたらし、穴を作り出す。
モントリオール協定に代表されるオゾン層を守る国際合意は、フロンガスの蓄積の増加を止め、1990年中盤から降下が観測されていた。ただし、大気中のフロンガスはいまだに濃く、成層圏に含まれる塩素を1960年代の状態に戻すには今世紀の中頃まで待たなければならないとされている。