世界各都市でレンタカーサービスを展開するハーツ。中国では、国際免許が利用できないため、出張者などは運転手付きの車両や、公共交通機関を利用する必要がある。
この点に着目したハーツは、本拠を置く米国においてはレンタカーサービスをメインに据えるが、中国では運転手付き車両利用サービスを展開している。
高品質のサービスが競争力に
中国のローカルルールを逆手に取り、ビジネスを展開するハーツ。さらに顧客対象を絞り込み、高品質サービスを展開するという特徴を打ち出すことで他社との差別化を進める。
ハーツの運転手のひとりであるリンさんによると、「ハーツで運転手をするためにはいくつかの試験をパスする必要があります。実務経験ももちろん考慮の対象です」と話す。リンさんは、フォーシーズンやペニンシュラなどのホテルで運転手を務めた経験が8年あり、その際には一時ロールスロイスの運転手も務めた。「ハーツでは英語力も求められます」とし、サービス品質の高さを差別化要素として取り込むハーツの戦略が読み取れる。
車両はトヨタ『カムリ』。リンさんの運転は滑らかで、無駄が無かった。
ビジネスミーティングでは、内容次第で終了時間が定まらない場合がある。その際は電話で運転手とコミュニケーションをとることができる。待ち合わせ場所から電話するとリンさんは、1分ほどでカムリとともに現れた。徹底した顧客サービスが浸透した上海ハーツでは、ハイクオリティの顧客体験が最大の特徴となっている。
世界の“普通”が中国では“競争力”に
他国では通常レベルの品質でも、中国では競争力になる場合がある。中国市場においてはサービス面での品質強化、向上の余地が多く残されている。サービスに対しては中国人からのニーズが無い場合でも、中国で活躍する多くの外国人からのニーズは少なくない。
ハーツは国際免許が利用できないという中国のローカルルールを逆手に取り、サービス品質という中国で特に差別化要素の余地が多く残されている分野を競争力に据えている。