杭州 日本茶の原点を見に行く(7)径山寺と茶

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径山寺と茶


径山禅寺は天目山東部凌雲峰一帯、東北峰の径山(770m)にある。南宋の五山の一。唐代の742年に法欽禅師により創建され、宋代には僧侶3,000人という隆盛を極めた。茶を仏に捧げる修行があり、茶樹は開祖法欽禅師が植えたとの説がある。径山茶宴と呼ばれる僧侶により開かれる大茶会があり、日本の茶道の源流であるとも言われている。また天目茶碗の天目はこの山から来ている。


日本茶の祖といわれる栄西も、この余杭に一時期滞在したらしい。この寺が臨済宗の原点と言われる所以であろう。南浦紹明は宋から帰朝の際、ここから茶の臺子(茶道で用いられる棚)などの茶道具一式を持ち帰り、中国の茶の方式を大徳寺に伝えたという。


1235年、静岡出身の聖一国師が入宋し、径山寺などで修行。修行の中に茶栽培、製茶などが含まれており、1241年の帰国後、静岡に茶の種を撒いたのが静岡茶の始まりと言われている。寺から茶園に向かう涼やかな道に記念碑も建てられている。この付近は実に日本的な雰囲気が立ち込めている。


径山茶は銘茶と言われてきたが、清代には径山寺が廃れて顧みられなくなったことから、茶も忘れ去られた。文革で荒れ果てた寺はその後再興され、茶も復刻されたというが、その名声は龍井茶には遥かに及ばない。地元に人に寄れば、「龍井茶が有名になったのも国家指導者が推奨した、所謂国策だった」と。径山茶は国の政策から外れているのだろう。


茶園は山深い斜面にあり、幽玄な景色が見られる。この地の茶摘みは年1回、当然茶のシーズンは終わっており、茶の木も何となく薄ぼんやりとしている。それがまた良い。茶葉を摘み、茶を作り、そして修行とする。とてもいい。

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《須賀 努》

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