光岡自動車と、クラシック音楽専門のインタ―ネット放送局“OTTAVA”のコラボレーションで誕生した『ビュート オッタ―ヴァ』の価格は585万円だが決して高くないという。
東京放送ホールディングスグループOTTAVAミュージックディレクターの斎藤茂さんは、この室内で聴く音楽を、自宅で同じよう聴くとすると1000万円くらいかかるのでは、と話す。「まず家を改装しなければいけないし、それから音を外に漏れないようにする部屋を作るだけで何百万もかかります。そして次にオーディオ機器を揃えます。そう考えると、理想の良い音で音楽を楽しみたいという方にとっては、さほど高くはないのかなと思いました」と述べる。
斎藤さんは、このビュート オッターヴァは運転したくないと笑う。「どこか自分の好きな海の側や、森の中に行って、そこに停めて思う存分好きな曲を聴きたいのです」
こういった音を再現するために、ビュートの室内は静かになっている。「外はエンジン音など聞こえますが、デッドニングという、振動を一切中に伝えない工夫がされています。具体的には前のドアの中に、ものすごい量の鉛が入っているのです。それで振動しないようにしています。実際に、前のドアと後ろのドアをこんこんと叩いたときに音が全然違うくらいです。わざわざドア(の内張り)を開けて鉛を詰め込むようなことは、大手メーカーでは出来ないことですね」
その音のチューニング等を担当したCB FACTORY代表取締役の山口文治さんは、「スピーカーなどの取り付け位置や、取り付け角度などは綿密に出来ています」と述べる。そして、苦労した点について、「特別仕様車なので、内装を切って作るのですが、切るときに勇気がいりました。通常のマーチであれば失敗しても部品を交換すればいいのですが、今回はそうもいかないので」と語った。