新型Bクラスは基本プラットホームからパワートレーンまで全面的に新しくなった。サンドイッチ構造のフロアを廃止したことで、乗降性が改善され、居住空間も拡大した。新パッケージングの効果は端的に表れている。
ただ、日本市場での使い勝手に配慮して全高を1540mmに抑えたのは、少々無理をし過ぎの面がある。全高と引き換えに最低地上高がわずか105mmとされたほか、サスペンションもストローク量の小さい硬めの仕様とされているからだ。
スパルタンなスポーツカーでも105mmという最低地上高は珍しいくらいで、注意しないと床下を擦ってしまうことになる。乗り心地もタウンユースでは問題ないが、大きめの入力があるとショックがしっかり伝わる。
搭載エンジンはダウンサイジングされた1.6リッターの直噴ターボ、トランスミッションはデュアルクラッチの7G-DCTになり、パワートレーンは一新された。
エンジンは90kW/200N・mの必要十分な動力性能を発生する。1500kgを切るBクラスのボディに対して必要十分なものといえる。ターボの効きによって低回転域から十分なトルクを発生するからだ。
CVTからデュアルクラッチに変わった7G-DCTはダイレクト感のある変速フィールが魅力。シングルクラッチと違って変速時のトルク抜けがなく、通常のATと変わらない感覚で滑らかな2ペダル運転が可能だ。
ただ、エンジンとトランスミッションを合わせた走り全体のフィールは、もうひとつ洗練された感じがなかった。エコモードで走ると物足りない感じがあり、スポーツモードでは騒音が大きめでスムーズさに欠ける感じになるからだ。メリハリの効いた走りともいえるのだが、もう少し洗練された感じが欲しいと思った。
好感が持てたのはECOスタートストップ(アイドリングストップ)機構。メルセデスベンツのアイドリングストップはとても優れていて、ちょっとした停止でもエンジンが良く止まるし、再始動のスムーズさもまずまずだ。
全車にクラス初の安全装備である衝突警報システム(CPA)を装備し、ベースグレードで299万円、上級グレードのスポーツで348万円の価格はまずまずという印象。ただ、スポーツを選んでセーフティパッケージやコンフォートパッケージを装着すると380万円を超える予算が必要になる。