フォードがエコブーストと呼ぶエンジンはヨーロッパのメーカーが先行したダウンサイジングターボの一種。日本に導入されたのは直列4気筒2.0リットルエンジンにターボを装着したもので、従来のV型6気筒3.5リットルエンジンを上回る366Nmのトルクを発生する。
なので、2tを超えるボディに2.0リットルエンジンで大丈夫かという懸念はもはや最初からない。それができるのが今の時代のダウンサイジングターボなのだ。
エンジンのトルクに余裕があって滑らかな加速を感じさせるのと同時に、電子制御6速ATが変速を意識させないCVTを思わせるような不思議な変速感を感じさせる。
シフトレバーの前進が“D”と“L”だけになっていることが余計にそう感じさせるし、マニュアル操作ができないことも同様だ。
駆動方式はFFのみの設定。『エクスプローラー』として初のFF車になるそうだが、SUVを本当に4WDが必要なシーンで使うユーザーは少ないことを考えたら、それで良いのかも知れない。ちみなにアメリカでもエコブースト搭載車はFFのみの設定だ。
室内に3列のシートが配置される7人乗り。3列目は乗降性も含めてさすがに広々というわけにはいかないが、前2列なら十分に広い。
不満点もいくつかある。ひとつはインテリアの操作系を革新した「マイ・フォード・タッチ」に日本仕様のカーナビが用意できていないこと。決定的なのは左ハンドル車しか設定がないことで、日本で売るなら右ハンドル車を作って欲しい。
価格設定はV6とエコブーストのXLTがともに440万円の同価格というなかなか微妙な設定。V6は4WDでエコブーストはFFだが、シートが本革のパワーシートに代わるので、結果として価格が同じになったとのことだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★
松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。