新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の次世代型ヒートポンプシステム研究開発プロジェクトの一環として都市域の下水管路網を活用した下水熱利用・熱融通技術の実証試験が開始される。
実証試験は大阪市立大学、総合設備コンサルタント、中央復建コンサルタンツ、関西電力が実施する。
下水管路内の未処理下水から採熱し、給湯や冷暖房に利用する下水熱利用システムの効率、信頼性を検証し、2012年度に実施予定の下水熱融通技術の効率の検証とともに、総合効率が既存の熱供給システムの1.5倍以上となることを目指す。
ヒートポンプは、冷暖房・給湯のエネルギー消費削減に最も効果的な機器だが、機器単体の改良だけでは削減効果が限定的で、熱源や利用側などを含めてシステム化し、ヒートポンプが効率的に作動する技術を開発する必要がある。プロジェクトでは、総合効率が現状と比較して1.5倍以上のシステムを確立するため、6件のテーマで技術開発を実施するもので、今回の実証実験はこの1つ。
都市部を流れる下水を未利用の「熱源」ととらえ、下水熱の利用機会を飛躍的に高めるため、既存の下水管路網を対象に下水の熱利用を可能とするシステムを開発する。
さらに、下水管路に沿って複数の下水熱利用システムを配置し、採熱や放熱を異なる地点で行う下水熱融通技術を開発する。下水熱利用システムは、未処理下水用の熱交換器とヒートポンプで構成するが、熱交換器の性能評価や耐久性評価が重要。今回、大阪市千島下水処理場内に、未処理水を用いる下水熱利用実証試験設備を構築し、実証試験を行う。