気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2011年12月28日付
●消費増税案で民主迷走、党税調一転「15年度10%」提示へ(朝日・1面)
●JR東が地元にバス専用道提案、気仙沼の不通区間(朝日・8面)
●中国レアアース輸出枠維持、来年も3万トンただし、管理は強化(朝日・8面)
●「発送電分離」に着手、経産相東電へ資本注受諾を要請(毎日・1面)
●ホンダの洪水タイ工場、新車1055台苦渋の処分(産経・2面)
●11月自動車生産4.5%増、3年連続1000万台割れ確実(産経・10面)
●EV「購入せず」多数派日本だけ、17カ国で調査、もっと高性能車出るはず(東京・3面)
●自動車部品、中国で共同配送、日通、現地大手と提携(日経・9面)
●新社長、平均0.9歳上昇、下半期本社調査、53.6歳、先行き不透明で「実力派」が登場(日経・10面)
ひとくちコメント
クレーンで釣り上げられた泥まみれの新車が解体する大型のプレス機に運ばれ、次々とスクラップにされて行く。まるで街角で見かける廃棄物の回収車に粗大ゴミを投げ込んでいるようだ。タイの洪水で大きな被害を受けたホンダのアユタヤ工場で、出荷前に水につかった新車の廃棄作業が始まった。洪水前に現地生産した『シビック』など計1055台を約1か月半かけてスクラップするそうだ。
その現地の映像が昨夕から今朝にかけて、NHKをはじめ民放各局のニュースで流れた。きょうの朝日と毎日を除く各紙も取り上げているが、東京の総合面では「EPA・時事」が配信したスクラップにされる新車の痛ましいカラー写真を紙面中央に大きく掲載。「ホンダ、新車1000台スクラップ、タイ洪水冠水で16億円分」という大見出しも衝撃的である。
きょうの読売の国際面には「2011去った人」の特集を掲載しているが、その中には、「もったいない」の言葉でお馴染みのケニアの元環境副大臣のワンガリ・マータイさんが9月25日に死去したことも取り上げている。
まさに、新車1055台のスクラップは「もったいない」の一言に尽きる。しかし、「水没した車が洗浄され市場に出回るとのデマが広がったこともあり、同社は消費者の不安を払拭するため水につかった全ての車の廃棄を決めた」(読売)という。ホンダとしては、水につかった車は、部品も含めて出荷しないことをアピールするとともに、操業再開を視野に、車の品質に対するユーザーの信頼を確保したいとも伝えられている。
その解体する新車の販売価格は合計で約16億6000万円にのぼるそうだが、それにしても、年末の“大掃除”にしては桁外れのスケールである。