日本自動車部品工業会は、10月1日現在の正会員企業407社のうち、上場企業で自動車部品の売上高比率が50%以上で、前年同期比較が可能な自動車部品専門企業83社の2011年9月中間期の経営動向を各社の決算短信から集計・分析して結果をまとめた。
今年度は、東日本大震災による被災、サプライチェーンの寸断に伴う生産休止・大幅な減産の影響があり、6月以降に生産は回復の兆しを見せてきた。
自動車部品メーカー83社の合計売上高は前年同期比9.5%減の8兆6629億円となった。
利益は、生産数・売上の減収に加え、下期以降の生産回復・増産に備えるために売上原価、販管費が大きく削減できなかった。特に震災後の様々な復旧対応や代替手配、電力不足への対応などで販管費総額でも前年同期と比べてほぼ同等となり、結果として売上原価と販売費・一般管理費の売上高に占める割合が相対的に大幅に上昇した。この結果、営業利益は同54.4%減の2992億円だった。経常利益は同53.4%減の2994億円、当期利益が同59.5%減の1533億円だった。
設備投資の動向を見ると、前年同期の15.6%減だったのから34.9%増と増加に転じた。一方でリーマンショック以降の各社の投資抑制の効果が残り、減価償却費に関しては6.2%の減少となった。
通期の各社の業績見通しは、上期での落ち込みを下期以降で挽回する計画となっているものの、全体では2010年度に対して減収・減益の予測となっている。これは主に上期の生産減の規模が大きく、下期で全て挽回できる範囲のものではなかったこと、欧州の財政危機や新興国の伸びの鈍化もあり下期の需要そのものの大幅な改善が望めないこと、円高により完成車輸出が減少する懸念があることなどが考えられる。
10月に発生したタイの洪水被害の状況は、業績への影響が精査できないとしたメーカーも多く、業績見通しについて今後大きく変動する可能性があるとしている。