執拗な煽りで事故誘発、求刑を上回る懲役12年判決

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昨年8月、静岡県三島市内で知人の乗ったバイクを高速度で執拗に追いかけまわし、トラックとの出会い頭衝突事故を誘発して2人を死傷させたとして、危険運転致死傷などの罪に問われた元少年に対する裁判員裁判の判決公判が10月28日、静岡地裁沼津支部で開かれた。裁判所は検察側の求刑を上回る懲役12年の実刑を命じている。

問題の事故は2010年8月26日の午前4時25分ごろ発生している。三島市大宮町付近の県道で、一時停止を無視して交差点へ進入してきた2人のバイクと、県道を走行していた大型トラックが出会い頭に衝突。バイクに乗っていた17歳男性2人のうち、1人が死亡、別の1人が重傷を負った。

当初は通常の事故とみられていたが、事件当時19歳だった男がバイクをクルマで執拗に追い回した結果、誘発された事故と判断。男を危険運転致死傷容疑で逮捕した。後に事故への関与を隠蔽する目的でタイヤなどを盗んだとして、窃盗容疑でも再逮捕されている。検察は危険運転致死傷や道路交通法違反(事故不申告、救護義務違反)などの罪で起訴している。

被告や弁護側は「途中で見失っており、トラックとの衝突事故と煽り運転に因果関係はない」と主張していたが、静岡地裁沼津支部の片山隆夫裁判長は「目撃者や同乗者の証言などから、事故直前まで追走が続いていたことは明らか」と認定。被告側の主張を退けた。

さらに裁判長は「高速度で約1kmにわたって執拗に追走するなど、危険運転の中でも類を見ないほど悪質」と指摘。検察側は懲役10年を求刑していたが、裁判長は「被告には反省の情が伺えないことや、犯行の危険性や結果の重大性を鑑みると検察の求刑はなお軽い」として、懲役12年の実刑判決を言い渡している。

《石田真一》

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