薬物依存による心神耗弱を認めず、被告に有罪判決

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2007年7月、佐賀県吉野ヶ里町内の国道385号で、自転車で道路を横断していた男子高校生をクルマではねて死亡させたとして、自動車運転過失致死罪に問われた44歳の男に対する判決公判が24日、佐賀地裁で開かれた。裁判所は執行猶予付きの禁錮刑を命じている。

問題の事故は2007年7月19日の午後7時50分ごろ発生している。吉野ヶ里町田手付近の国道385号で、自転車で道路を横断しようとしていた高校3年生(17歳)の男子生徒に対し、制限速度を約25km/h超過した状態で国道を進行してきた乗用車が衝突。男子生徒は弾き飛ばされ、全身強打で死亡した。

運転していた男は自動車運転過失致死容疑で書類送検されたが、佐賀地検は嫌疑不十分を理由として不起訴としていた。これを受けた男子生徒の遺族は佐賀検察審査会に不起訴不当を申し立てていたが、佐賀地検は議決前に再捜査を実施。今年4月に男を在宅のまま起訴していた。

弁護側は薬物摂取と依存による心神耗弱を主張していたが、24日に開かれた判決公判で佐賀地裁の若宮利信裁判官は「被告は事故現場まで約19kmに渡って運転しており、薬の服用の影響は重大なものではない。警察にも自ら通報しており、説明内容などからも心神耗弱とは感じられない」として、弁護側の主張を退けた。

その上で裁判官は「被告の刑事責任は軽くないが、病気治療のためには社会内で更生させる必要がある」として、被告に対して禁錮1年2か月(執行猶予5年)の有罪判決を言い渡している。

《石田真一》

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