1年前に出た『C3』や『DS3』は、ユニークなだけでなく完成度も高いクルマで、これはいいなと思った。ところが、少し前に出た『C4』はつかみどころがなく、どんなクルマかと尋ねられると返答に困るクルマだった。そんなわけで、『DS4』はどうなるのだろうと気になっていたのだが、こちらはなかなか見どころの多いクルマだった。
ちょっと大きめのホットハッチ路線かと思いきや、車高を高めてSUV的な要素を与えたという特異なキャラクターも独創的で面白く、独特のインテリアも興味深い。
また、C3に続いて採用されたパノラミックウインドウも、あらためて気に入った。一般的なサンルーフ(パノラマルーフを含む)というのは、開口部が前席乗員の頭上から始まるので、前席乗員にとっては、実はそれほど大きな開放感を提供してくれるものではない。ところがパノラミックウインドウであれば、前席乗員も開放感を味わうことができて良い。
ユニークなクルマながら、後席のウインドウは開閉不能。とはいえ、とりあえず4枚のドアがあるし、居住性は高いし、ラゲッジ容量はクラス最大級という実用性の高さも持ち合わせているところも良い。
日本で乗るには、HパターンのMTと、2ペダルながら変速時の失速感が気になるESGという2つの設定しかないトランスミッションが障壁となることだろうが、リアドアの件を含め、すべて承知の上で乗れば、なかなかハマれるクルマではないかと思う。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★
岡本幸一郎|モータージャーナリスト
1968年富山県滑川市生まれ。学習院大学卒業後、生来のクルマ好きが高じて自動車メディアの世界へ。自動車情報ビデオマガジンの制作、自動車専門誌の記者を経てフリーランスへ。近年はウェブ媒体を中心に活動中。「クルマ好きのプロ」として、ユーザー目線に立った視点と幅広い守備範囲を自負し、レスポンス試乗記には他媒体では諸事情により書きにくい本音も!?