大変身の『エクスプローラー』である。従来のボディ・オン・フレーム(セパレート・シャシー)に換えて、『トーラス』の横置きFFプラットフォームをベースとするモノコックボディを採用。それに伴って、デザインもぐっとモダンに進化した。
ボディ色のCピラーに「エクスプローラーらしさ」を残す一方、スラントしたラウンドノーズ、根元を前進させつつ傾斜を強めたAピラー、豊かに張り出したフェンダー・フレアなどが新鮮な印象。先代までの質実剛健なイメージとは一線を画す、逞しくもモダンなエクステリアだ。
でも、そこまでは想定内。「乗用車プラットフォームになれば、デザインもこうやってモダナイズされるんだよね」と納得しながら運転席に乗り込むと、驚きが待っていた。メーターパネル中央は垂直ゼロ指針の自発光式速度計。その左側の液晶ディスプレイはステアリングスイッチで回転計や燃費表示などに切り替えられる。これでまず驚いた。
アメリカでエクスプローラーはSUV市場を牽引してきたベストセラーカー。フォードにとってはいわゆる「ブレッド&バター・カー」(訳せば、米の飯のクルマ)だと思っていたのだが、新型はそれ以上のものなんですね。さらにセンタークラスターのタッチスクリーン式8インチ液晶と、その下のダイアルスイッチ&タッチスイッチとで、オーディオや空調などさまざまな機能を操作できる。このインターフェイスも斬新かつ楽しい。
今回の試乗では乗用車プラットフォームならではの上質の乗り心地を味わいながらこうしたインターフェイスを楽しみ、オフロード・コースではエクスプローラーの名に相応しい走破性も楽しんだ。場面を問わず乗り手をもてなしてくれるエンタメ性こそ、このクルマの最大の魅力なのだと思う。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
千葉匠│デザインジャーナリスト
1954年東京生まれ。千葉大学で工業デザインを専攻。商用車メーカーのデザイナー、カーデザイン専門誌の編集部を経て88年からフリーのデザインジャーナリスト。COTY選考委員、Auto Color Award 審査委員長、東海大学非常勤講師、AJAJ理事。