かっこいい。このクルマを語るなら、もうそれだけで十分なんじゃないだろうか。そもそも女性が、足が痛いのにハイヒールを履くのも、ジュースのプルトップが開けられないのにネイルをほどこすのも、つまりは、美しくかっこよくありたいからだ。あれ? 両方とも無縁な私はいったい……まあ、いいか。
デザインの詳細をここであれこれ書くのは無駄なので割愛。プジョーのサイトでも見ていただこう。ただ、ひとつ伝えたいのは、二次元のサイトの写真よりも、三次元のナマの『RCZ』の方が、数十倍かっこいいということだ。特にリア。RCZの後ろを走るドライバーの視線位置からなんて、そりゃもう、惚れ惚れとするボリューム感である。
ATの気楽さもさることながら、かっこよさを堪能するならMTである。しかも左ハンドルという、ここ数年お見かけしなかった粋な設定。さらにはエンジン音を、MTだけ車内にわざわざ取り込んでいるとくれば、どれだけ自分が好きなのよ、RCZ? と、問いたくなるというものだ。しかし、そんなナルシストぶりも心地よく感じるのだから、デザインが美しいことは、なにものにも替え難い。「デザインで乗る」という言葉を久しぶりに思い出して、「RCZありがとう」と思うのである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/エッセイスト
女性誌や一般誌を中心に活動。イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に精力的に取材中するほか、最近はノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。JAF理事。チャイルドシート指導員。国土交通省 安全基準検討会検討員他、委員を兼任。