昭文社『ことりっぷ』は20〜30代の女性をターゲットにした旅行ガイドブック。昭文社の子会社キャンバスマップルでは、このことりっぷをiPadアプリとして提供予定だ。
制作に当たったのは同社企画制作部部長の吉橋誠氏。「ことりっぷを購入して旅行に出かける女性たちは、“ことりーな”と呼ばれているそうです。制作に当たっては、書籍版の制作に携わった編集者もチームに入ってもらい、社内のことりーなの意見を参考にしつつ、UIの作り込みをおこないました」(吉橋氏)。
このiPad版ことりっぷ、単なる電子書籍ではなく、使い勝手の部分にかなり手が加えられている。「旅行ガイドブックは最初からじっくり読み込むと言うより、パラパラめくっていって気になった部分を付箋をつけながらチェックしていく、という使い方がされています。そこで、スワイプ操作(画面上で指を左右にすべらせる)でパラパラと慣性でめくれるようにしています。また、付箋の代わりに“シール”を貼ることでできて、何ページのどの観光スポットに貼ったかのリストを呼び出すことも可能です」(吉橋氏)
実際、触って見てもなかなか動きはスムーズでiPodのCover Flowを操る感覚でめくることができ、iPadの操作感覚と紙の使用感をうまくバランスさせている。手描きのイラストをふんだんに使った誌面と明度高めの淡色中心の色づかいはことりっぷの世界観そのまま。シールのリスト画面ではシールを貼った観光スポットから現在地までの距離が表示されるなど、旅先でも実用性は高そう。ナビアプリとの連携にも対応できるUIになっている。
現状の予定ではアプリは無料でダウンロードでき、各観光エリアの情報も利用できるが、無償版では閲覧開始から3分間までの利用に限られ、3分以上の利用は有償になるという。価格は「書籍版とほぼ同じくらい」(吉橋氏)とのことだ。アプリのリリース時期はまだ未定だが、「年内に間に合ってもらえれば」と吉橋氏は期待する。