【池原照雄の単眼複眼】国内生産回復も危機はなお続く

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◆今年は900万台半ばに回復の見込み

今年も残すところ1か月となった。2008年秋の金融危機以来、再生2年目となった自動車業界は、11年3月期の業績でメーカー全社が黒字を確保する見通しであり着実な立ち直りを見せている。だが、エコカー補助金の終了による国内需要の反動減や、円高に張り付いている為替動向など視界は晴れていない。来年はこの1年より更に厳しい舵取りを迫られる展開となりそうだ。

今年1〜10月の国内自動車生産は、前年同期を29%上回る807万台となった。1976年以来33年ぶりの800万台割れとなった昨年の実績(793万台)を10か月間でクリアした。もっとも10月は1年ぶりのマイナスに転じており、早くもエコカー補助金終了の影響が出ている。

11~12月が前年を10%下回る水準で推移すると今年の国内生産は955万台レベルとなる。一方、9月からマイナスになった国内販売は、11~12月が前年実績比2割減少のペースだと年間では約500万台と、09年(461万台)を8%上回る。


◆依然として30年前のレベル

概観すると生産955万台、国内販売500万台、輸出455万台―というのが、自動車産業の今年の国内でのパフォーマンスということになる見込みだ。1970年代末の状況とほぼ一致しており、国内での事業活動だけを見ると、依然として時代が30年余り逆戻りしたレベルである。

国内生産見込みの955万台は、日本での車両開発や生産技術力を維持するために、各社が「死守ライン」とする生産規模とも、ほぼ一致する。トヨタ自動車は豊田章男社長が、何としても「国内生産300万台」を守るとの方針を表明している。

同様に、日産自動車、ホンダ、スズキ、マツダの4社首脳も、それぞれ100万台規模を確保したいとの意向を示している。これら上位5社で合計700万台。さらにダイハツ工業、三菱自動車工業、富士重工業の乗用車3社に、いすゞ自動車などトラック専業4社を合わせた7社は、設備稼働率をやや低めに置くと計250万台規模の生産が必要水準と見ることができる。


◆「死守ライン」をどう死守するか

自動車メーカー12社では、ざっと950万台。これが国内でのモノづくりのポテンシャルを維持する最低ラインであろう。言い換えれば、国内部門の空洞化を回避するための死守ラインでもある。

今年の生産レベルは、かろうじてそのラインまで戻ってきた。しかし、来年はエコカー補助金効果の反動により、国内市場が30万ないし40万台のレベルで落ち込む可能性が高い。それを輸出でカバーできればよいが、為替動向は輸出には逆風となっている。

採算を考えれば国内から海外へ生産移転や海外部品の調達拡大は不可避の流れにある。部品産業を含め、死守ラインをどう死守していくのか。来年は空洞化との厳しい闘いに直面する年となる。
《池原照雄》

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