ヤマハ発動機は、年内にライフサイエンス事業から撤退すると発表した。市場規模が限定的で将来的な事業成長が見込めず、収益の改善が困難と判断した。
同社は1997年から微細藻類を活用したCO2低減の研究を開始し、2005年にはライフサイエンス研究所を設立、バイオテクノロジー領域の新たな事業としてライフサイエンス事業をスタートした。
2006年には食品・化粧品メーカーなどにアスタキサンチン原料「ピュアスタ」の供給を開始したほか、2007年には、アスタキサンチンサプリメント「アスティボ」の一般販売を開始した。
しかし、事業を本格化した2007年から2009年までの3年間の累計売上高は5億円程度にとどまり、市場規模と成長が当初の想定を大きく下回って不採算の状況が続いている。
一方で、同社は現在、主力の二輪車事業でも工場の閉鎖などによる再編、人員削減、コストダウンなどに取り組んでいる。こうした状況から、今後も、事業成長と収益改善の可能性が見込めないライフサイエンス事業からは撤退する。
今後、アスタキサンチン原料の供給については、現在の取引先と個別に協議する予定。アスタキサンチンサプリメントは2011年3月末で一般販売を終了する。
人員は、原則として同社内で再配置する予定で、研究所や工場の活用は、今後検討する。