ITで「いつでもつながる」クルマに
日産自動車が今年12月に日米で発売する電気自動車(EV)『リーフ』の試作車に試乗した。ほぼ最終仕様となった試作車は、スムーズな加速や静粛性といったEVならではの走行性能を引き出し、乗る楽しさを存分に実感できる仕上がりとなってきた。
航続距離というEVの弱点は依然として大きなテーマだが、リーフは「いつでもつながる」をテーマにITによるドライブサポート機能を追求。カーテレマティクス(車載情報通信システム)をEVの弱点克服に最大限活用している。
日産はフル充電時のリーフの航続距離は、日本の新しい燃費測定モードである「JC08」で200km程度と想定している。ただし、エアコン使用時や渋滞に巻き込まれた際など、走行条件によって航続可能距離は大きく変化する。
このため、メーターには刻々と変化する航続可能距離をリアルタイムで主メーターにデジタル表示するようにしている。同時にカーナビの地図上では、現在地からの到達可能距離を同心円状にエリア表示できる機能も備えた。この画面への切り替えはハンドルに付けたスイッチで操作も容易だ。
◆最新の充電スポット地図データを送信
カーナビでは、EV専用の地図データも制作し、充電スポットを表示できるようにした。充電スポットは今後、着実に増設されていくので、日産のテレマティクス技術「カーウィングス」を使い、同社の「グローバルデータセンター」から自動的にデータ更新を行うようにする。
テレマティクスによる地図情報の更新は、すでに一般的な技術となっているが、リーフは、EVならではのニーズにもテレマティクス技術を生かしている。充電やエアコンのリモート操作などである。
リーフは家庭で割安な夜間電力を充電するという「プラグイン」の使い方が一般的となるため、充電はタイマーで予約できるようにした。エアコンについても、例えば朝の出発前にプラグインの状態で作動させ適温にしておくよう、タイマー予約をすることができるのだ。
◆充電、エアコンを携帯で遠隔操作
これは、バッテリーの電力を極力使わないようにし、航続距離を稼ぐためであり、こうした充電とエアコンの操作は運転席で行うだけでなく、携帯電話やパソコンからテレマティクスによって遠隔操作も可能とした。家庭や出先の充電器にプラグインした状態で、充電の指示や充電量の確認、さらに充電完了の通知受信などができる。
通信はいずれもデータセンター経由で行う。試作車では車両側の端末にNTTドコモの3G携帯電話を搭載している。車載端末の通信料を無料にするかなどは、リーフの発売時までに詰めるという。
カーテレマティクスは、渋滞回避のルート検索や天候・災害などを含む各種ドライブ情報の提供で進化を続けている。最先端のエコカーでは航続距離という弱点を補う重要な担い手として進化する。