ワールドカップ南アフリカ大会、ヨハネスブルクのサッカーシティ競技場、11日の開幕戦は南アフリカ対メキシコ。ブラジル出身の知将、ペレイラ監督率いる地元チームの登場でスタジアムは満員だった……。
笛が吹かれ試合開始。南アフリカ応援団席で「9万4000人の観客、22人の選手、主審が1人と線審が2人」と繰り返しつぶやく男がいる。色白で背が低くてやせている若い男だ。隣に座っている中年の太った男がその声に気がついたが、若い男は中年の男に話しかけたのではなく、ひとりでつぶやいている。
南アフリカのゴール!! 若い男がまた「9万4000人の観客、22人の選手、主審が1人と線審が2人」とつぶやいている。隣の中年男は気づいたが、ちらっと顔を見ただけで放っておいた。
メキシコが同点ゴールを決める。若い男はまた「9万4000人の観客、22人の選手、主審が1人と線審が2人」とつぶやく。隣の中年男は気になり出した。
南アフリカが追加得点のチャンスを逃す。若い男が「9万4000人の観客、22人の選手、主審が1人と線審が2人」とつぶやく。中年男はそれを聞いてイライラしている。
試合は引き分けで終わった。若い男はあいかわらず「9万4000人の観客、22人の選手、主審が1人と線審が2人」。中年男はついに声を荒げて聞く。
「おい、お兄さん!! その『9万4000人の観客、22人の選手、主審が1人と線審が2人』ってのは、いったい何なんだい?」
「鳩がウンコしたんです。これだけの人がいるというのに、ほかでもない私の頭の上にですよ」
★ブラジルのジョーク。