行楽シーズン前に知っておきたい…ミニバン“専用”設計タイヤの意味とは

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まもなくボーナス商戦が始まり、夏休みの行楽シーズンまであと1か月あまりとなった。高速道路の料金値下げで今年の夏もマイカーで出かけるという人も多いはず。ロングドライブ前にチェックしておきたいのがタイヤだ。タイヤは摩耗してしまうとグリップだけでなく、静粛性や乗り心地も悪化してしまう。今回は、家族でのドライブを考慮して、すっかり市民権を得たミニバン向けタイヤについて、取り上げてみよう。

◆専用タイヤはメーカーの腕の見せ所

タイヤは自動車の構成するパーツの中で唯一、路面と接しており、当然ながらタイヤのチョイスによって走安性や静粛性は大きく変わるものだ。

クルマに装着して走行している間は、トレッド面とサイドウォールを中心として、常にたわみと戻りの変形を繰り返している。その状態変化あるいはクセというのは、走り方だけでなく、クルマのタイプによっても異なる。

ことミニバンにおいては、車高が高く、車重が重いため、安定性が低下しがち。そこに目をつけて開発されたのがミニバン専用タイヤだ。周知の通り、ミニバンはここ十数年で、より快適に、より静かに、よりスポーティーに進化してきた。それに伴いミニバン専用タイヤに求められる性能も非常に高度なものになってきた。それゆえ各タイヤメーカーは知恵を絞って、随所に独自のノウハウを盛り込んでいる。

◆ふらつきや腰砕けに対応する「非対称パターン」

人気カテゴリーの専用タイヤだけに、サイズも含めて品揃えは豊富だが、基本的な開発コンセプトはどれも同じと思っていいだろう。“ミニバン特有のふらつきと偏摩耗をいかに抑えるか”、である。ふらつきを抑えれば操縦安定性が高まり、偏摩耗を抑えればその分、タイヤの寿命が長くなる。つまり安全性と経済性がアップする——その常套手段ともいえるのが、トレッド面のアウト側とイン側で異なるパターンを採用した「非対称パターン」だ。

そもそも背が高いミニバンは、セダンなどに比べて重心が高く、車重も重い。そのためコーナリング時はもとより、横風、路面の段差やうねり等の外乱入力時に、タイヤのアウト側やサイドウォール部に掛かる負荷が大きい。

そこでミニバン専用タイヤではアウト側のトレッドパターンを工夫することで、ふらつきや偏摩耗を抑制している。実際に見てみると分かるが、ブロックはたいていアウト側のほうが大きい。ブロックが大きいということは、接地面積が稼げるということ(横方向に対する剛性も高くなる)。つまりグリップが高まり、ハンドリング面で有利に働きやすい。

アウト側とイン側で異なるのは見た目だけではない。硬さも違う。これはふらつき・偏摩耗の配慮に加え、乗り心地に与える影響が大きい。先述したようにミニバンのタイヤはアウト側により大きな負荷がかかるため、それに対応できる硬めのコンパウンドをアウト側に採用。サイドウォールも硬く設計されている。逆に内側は乗り心地を重視して柔らかめ。こうした適材適所のアプローチで、操縦安定性と乗り心地を上手くバランスさせている。

◆サードシートまで含めた静粛性の追求、トレンドは低燃費化

6〜8人が乗れるミニバンは、乗車人数によって前後の荷重変化が大きい。また、1、2名乗車と定員乗車時のキャンバー角度も大きい。これらによるグリップ変化を最小限に抑えることもミニバン専用タイヤに求められる要素だ。広い車内空間の音響特性を考慮し、高い静粛性も追求している商品もある。

例えばサードシートは、路面からのノイズを伝える後輪の上に位置しているため、中・高音域のノイズが大きくなる可能性がある。そこでタイヤの形状やコンパウンドなどに工夫を凝らすことで、耳障りなロードノイズを低減させ、車内の静粛性を向上させている。

このようにミニバン専用タイヤは、一般的なタイヤよりも技術介入の余地があるため、様々なノウハウが投入されており、それがタイヤの個性にもつながっている。最近では、転がり抵抗を小さくして消費燃料を抑える、いわゆる低燃費タイヤの技術も、ミニバン専用タイヤに投入されるようになってきた。

安全・快適・静粛性、これらを総合的に考えれば、一般的なベーシックタイヤより多少高いプライスがついていても専用タイヤを選ぶ価値は十分にある。「タイヤの偏摩耗が気になる」「走りの安定感を高めたい」「もっと快適なドライブを楽しみたい」というミニバンユーザーは、検討してみるのも悪くない。

《近藤ひでつぐ@DAYS》

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