3日の『iPad』発売を控えた夜。5thアベニューのアップルストアには20時の段階ですでに10人の徹夜組が並んでいた。
先頭はグレッグ・パーカー氏。ダイアナ妃の記帳一番乗りなどウィキペディアにも載っている並び魔、有名人だ。
iPadって何か知ってて並んでいるの? と思って、ゲットしたiPadを譲ってくれないかと声をかけてみた。
「ひとりにつきふたつまで購入できるんだ。ひとつは自分用、もうひとつならば譲るよ。いくらで買ってくれるんだい?」
そらきた。多少の手間賃は仕方がないかとプラス100ドルの600ドルを提案した。
「ダメダメ、700なら売るよ」
釣り上げてくるなと思っていったん引き下がる。先ほどアップルストアの店員に明日の在庫は沢山あるよ、と聞いていたからだ。
ところが、1号機を確実に手に入れるならば、あと100ドル払っても旅の思い出だ、と思い直して700まで払うつもりで650ドルでどうだ、と再び交渉。
「ダメダメ、800ドル!」
これで目が覚めた。明日は早起きだ。自力で手に入れてみせる。グレッグに俺の提案を蹴ったことを後悔させてやるぞ。と誓って夜のニューヨークに繰り出した。