【ボルボ C70 試乗】ボルボに華を添える一台…河村康彦

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近くを歩く人を立ち止まらせそうなほど凝った動きを行うルーフの開閉、それに要する時間はおよそ30秒。というわけで、「信号待ちの間に素早く変身!」とはとても行かないものの、その分完璧な仕上がりを見せるのがルーフを閉じた状態でのインテリア。

細かい部分までしっかり内張りが施され、走り出してもわずかな艤装のキシミ音すら出さない作り込みの高さは、まさに100%の“純正クーペ”そのもの。外観も、分割式ルーフを背負う事により伸びやかなフォルムを実現。いくらオープンモデルとは言っても、現実には「クローズ状態で使う割合が過半」に違いない事を考えれば、このあたりは重要なポイントであるはず。

後席は、前席下へと足先を差し入れるレイアウトで何とか大人も座れるスペースが確保されているものの、いわゆる“2+2”的なパッケージングの持ち主と考えるのが無難。一方で、見方によっては、4人が座れるスペースを捻出しながらオープンエア・モータリングを楽しませてくれるのだから、なかなかオールマイティなキャラクターの持ち主とも受け取れる。

2.5リットル・ターボの5気筒エンジンは、1.7t強の重量に対して十分なパワーを感じさせてくれるものの、足回りの味付けを含めて走りの印象全般は「しっとり、ゆったり」が基本。大きくなり過ぎた(?)『V70』シリーズの人気が今ひとつでどうも元気のない日本でのボルボに、文字通り“華”を添えてくれるのがこの1台。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★

河村康彦|モータージャーナリスト
1985年よりフリーランス活動を開始。自動車専門誌を中心に健筆を振るっているモータージャーナリスト。ワールド・カーオブザイヤー選考委員、インターナショナル・エンジンオブザイヤー選考委員。

《河村康彦》

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