29日、鳥取県米子市の米子コンベンションセンターにて「鳥取県経済成長戦略フォーラム」が開催された。
米子コンベンションセンターでは同日に、EVを製造するナノオプトニクス・エナジーの進出に関する調印式があった。鳥取県経済成長戦略フォーラムでは、それに合わせて「電気自動車を活用した地域活性化、低炭素型まちづくり」をテーマにパネルディスカッションが進められた。
コーディネーターを勤める鳥取県経済同友会代表幹事の秦野一憲氏は、「JTという超優良企業であっても、撤退するのは時勢を反映している。どうやって米子市を再生させるか、知恵を絞ったが、なかなかいいアイディアが出なかった。しかし、JT米子工場がEV工場という先端的な未来産業に衣替えすることは願ってもないチャンスだ」と歓迎した。
パネルディスカッションにはパネリストとして、ナノオプトニクス・エナジー代表取締役社長の藤原洋氏、SIM-Drive取締役社長の清水浩氏、日産自動車プロダクトチーフデザイナーの青木護氏、三菱自動車工業常務執行役員の中村義和氏の4名が参加した。
藤原氏は、ナノオプトニクス・エナジーが進出する米子市の活性化を期待している。「ガソリン車は3割が電子部品だが、EVは7割にも増える。米子市は、機械部品には縁がなかったが、電機と電子部品はしっかりとした産業基盤がある。米子市にとって、これはチャンスだ」
ナノオプトニクス・エナジーが製造する最初のEVは1000万円クラスのスポーツカー。これを中国や韓国の富裕層にも販売したい考え。米子市は日本海側に位置する都市で、韓国やロシアとも近い。隣の境港市には、これらの国を結ぶ定期船が就航している。藤原氏は、「海運インフラを活用してEVが輸出できる」と自信を見せた。
EVの製造はハードルが低く、多くのメーカが参入すると思われる。そうなると、これまでよりも多くのモデルが登場するだろう。青木氏は、「鳥取市は、城下町できれいな街だと思う。この景観を壊さないような鳥取県専用モデルを作るというのはどうだろうか。各県のテーマカラーを決めてもおもしろいだろう」と語った。
すでにEVの「i-MiEV」の販売やレンタルを手がけている日産自動車。i-MiEVはカーシェアリングとして利用されているケースが多く、中村氏はニュータウンと離島の2つのモデルがあると事例を紹介した。
ニュータウン型の例は、千葉県のユーカリが丘。「カーシェアリングでクルマの数が減り、環境の意識が高い街だと宣伝できる。そうすると地価が下がりにくくなる」という効果がある。中村氏は、EVは離島でさらに威力を発揮するとする。「離島はガソリンは高いが、電気料金は同じ」というのが理由。実際に五島列島では100台が走っている。
またEVは観光地でも有効だとする。「世界遺産などを目指している観光地にEVを導入すると、環境への配慮がアピールできる」とのアイディアも披露した。