27日と28日の2日間に渡り、「TOKYO DRIFT IN ODAIBA」と題して、お台場の青海臨時駐車場特設コースでD1グランプリの2010年シーズン第1戦ならびにエキジビションのオールスターショーが開催された。27日の第1戦は、09年王者の今村陽一が優勝。昨年の勢いを持続させた結果となった。
新交通システムゆりかもめの船の科学館駅前に広がる青海臨時駐車場は、再開発が決まっており、モータースポーツの会場として利用できるのも今年限り。D1グランプリでは、過去に同地に特設コースを用意してシリーズ戦に組み入れたこともあったが、ここ数年はエキジビションマッチの会場として使用していた。今回は、D1グランプリが10周年、そして青海臨時駐車場を利用できるのも最後ということもあり、シリーズ戦として復活した形だ。
コースはほぼ例年と同じ形だが、スタート地点から1コーナーまでの直線距離を昨年より12m延長し、最高速が10km/hほど上がるレイアウト。ホテル・グランパシフィック・ル・ダイバ側からスタートしてゆりかもめと並走し、東京国際交流会館側で右へ曲がる1コーナー。1コーナーはRが大きく、弧を描きながら船の科学館駅まで続き、そのまま右コーナーのヘアピンである2コーナーに続く形となる。審査席は、1コーナーと2コーナーの中間にあり、クルマが最もアウトにはらむ箇所の少し手前という具合だ。2コーナーを立ち上がった後は、左への3コーナーがあり、その先でフィニッシュとなる。
1コーナーではクリッピングから1.5mほど離れた位置を通過し、審査員席前の辺りではスポンジバリアをなめるように通過し、2コーナーではキッチリとクリッピングにつき、3コーナーはアウト・イン・アウトで通過するのが、理想のレコードラインだ。
第1戦ではあるが、お祭り的な要素もあり、ドリフトの名手でありながら昨年のSUPER GTのGT300クラス王者でもある織戸学が参戦したほか、アメリカやイタリアなど海外からも複数の選手が参戦した。予選は、スタンドなど会場の設営が行われている前日の19日に、報道陣のみに公開する形で実施。カーナンバー35の太田勲が、ショートコースのお台場にマッチした、300馬力強のS15型日産『シルビア』で1位通過を果たした。
27日の決勝日は、まず予選を通過した21名+シード選手9名による単走からスタート。なお、本来、シード選手は10人だが、カーナンバー9の関西ドリフターの雄・黒井敦史氏が、今年2月に交通事故で急逝。オープニングセレモニーでは、本来今シーズンも参戦する予定だった愛車が特別にデモランを実施した。
単走は2次予選的な位置付けで、追走トーナメントに参加できる16名が絞り込まれる。08王者の斉藤太吾を除いたシード選手が全員通過したほか、織戸、D1USAで過去2回ほど王座に就いているサム・ヒュビネットらが通過した。
追走は、先攻と後攻という形で、2台で走る。先行はラインを守って走って追走してくる後攻の車両を振り切れば得点で後攻の選手に対してアドバンテージを得られる。後攻は、先行の車両にどれだけ肉薄できるか、インに食い込めるかでアドバンテージを得られるという具合だ。決勝戦に進出したのは、一回戦で昨年13位の高橋邦明、ベスト8で織戸、セミファイナルで07年王者の川畑真人を破った今村(S15型シルビア)と、500〜600馬力は当たり前、中には800馬力のマシンもあるという中、300馬力のハチロクで闘っている日比野哲也。日比野は、1回戦で06王者熊久保信重、ベスト8で古豪・古口美範、セミファイナルで昨年4位の末長正雄を破ってのファイナル進出だ。ダンロップ勢同士の対決となった。
ファイナルは、左リアバンパーをえぐってしまうなどダメージの大きいハチロクの日比野が食い下がるが、昨年からの勢いを持続させる今村が勝利。今村は、昨年までのブリヂストンからダンロップにタイヤを替えたにもかかわらず、何の影響もない強さを発揮しての優勝である。速さとテクニックと安定感の総合力でトップドライバーの中でも頭半分は抜きんでて見え、2年連続の王座獲得もありそうである。
第2戦は大分県のオートポリスで、4月24・25日に実施。お台場は特殊なコースであることから、第2戦はもう1つの開幕戦ともいえる。昨年は今村が優勝しており、彼を止める選手が出てくるかどうかが注目だ。