【バンコクモーターショー10】デモ活動中でも平和な理由

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バンコクで大規模なデモ活動をおこなっているのは反独裁民主戦線(UDD)というタクシン元首相の支持者たち。彼らは赤をイメージカラーとしていつも赤いTシャツを着ているから、タイ人やバンコク在住日本人の間では「赤シャツ」と呼ばれている。

バンコクで参加者9万人(27日の報道)という大きなデモ活動がおこなわれているにも関わらず、街がいたって平穏なのには大きな理由がある。ひとつは彼ら赤シャツが活動に参加している動機。もうひとつは現政権の方針だ。

最大の理由は、デモ参加者の多くが真剣にアシビット首相率いる現政権の打倒を目指しているわけではないことだろう。タクシン元首相支持者である彼らの主張は「下院解散と総選挙」だが、一部の参加者を除き、真剣に政治のことなど考えていない。多くの人はデモに参加すると支給される日当欲しさに“出勤”しているだけなのである。タクシン元首相から参加者に流れる日当は2000バーツ(約5700円だが現地では2万円弱くらいの感覚)ともいわれている(500バーツという説もあるがそれは中間マージンを抜かれて末端に渡される額のようだ)。

だから彼らの感覚としては、抗議活動というよりもお金がもらえるお祭り騒ぎ。政治的には緊迫していても、過激さも人に危害を加えるつもりもまったくないのである。

バンコクの街が平和であるもうひとつの理由は、現政府の方針だ。現政府はデモ隊を武力で排除しようと考えていない(一部区域からは警備にあたる軍を撤退させたほど)。そして、参加者も政府がやさしいことを知っているからこそ安心して参加しているのである。

デモ参加者の多くに強い意志がないだけに、政府が武力で鎮圧しようとすれば参加者の多くはすぐに逃げ出し、デモ活動は沈静化する可能性は高い。しかし、それでも武力鎮圧に持ち込まないのは、現政府が国外の目を気にしているからだろう。

バンコクでは観光業に携わる人を中心にデモへの嫌悪感が強く、政府のデモ隊への対応について「やさしすぎる」と考えている人も少なくない。

ちなみにデモ隊が支持する(とされる)タクシン元首相は現金ばら撒き政策をおこなったので貧しい人々の支持を集めているが、政権を握っている間に立場を利用して私腹を肥やした疑いが強いので一般市民からの支持はあまり高くないようだ。

《工藤貴宏》

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