スカイマークのあきれた飛行実態が明らかになった。飛行中に乗務員が操縦室内でデジタルカメラで記念撮影を行ったという行為だ。
閣議後会見で前原国交相が示し「安全管理上きわめて不適切」と語ったその写真は2種類。写っていたのは、機長と副機長がそろってカメラを向いたツーショットと、客室乗務員をはさんで撮影したスリーショットだ。どちらもピースサインで浮かれた様子が伝わってくる。
この写真は、巡航するジェット機内で撮影された。同社は低コスト実現のために、使用する機種はボーイング『737型』の1機種だけなので、操縦は機長と副機長の2人態勢。その飛行中に、操縦士のどちらもが後ろを振り返り、カメラに顔を向けていたことになる。このジェット機の巡航速度は900km/h。撮影時は水平飛行中で自動操縦だったのかもしれないが、ここまで気をぬいた操縦が許されるはずはない。
さらに、同社の飛行機には4人の客室乗務員が搭乗しているが、スリーショットの撮影時にはカメラの撮影に1人、被写体に1人の最低2人が必要なわけだから、客室には必要な乗務員の半数以下しか配置されていなかったことになる。
「今までにない工夫を凝らし、さらにリーズナブルな運賃を提供する」と西久保社長はホームページ上で宣伝するが、いくら安くてもこれでは安全も乗客のサービスも行き届くまい。
同社は、関係した乗務員を諭旨退職処分、その他関係の管理職を降格、減給などの処分を行ったことを公表したが、9日の発表ではその行為については「2009年4月より当該乗務員が乗務する便の巡航中において、操縦室内でデジタルカメラを用いて撮影を5回行っていたことが判明しました」と、文書で短く伝えるだけだった。
他の乗務員による撮影があった可能性も捨てきれないと、11日から始まった国土交通省航空局の立入り調査は来週も続く見込みだ。