会場となったポートメッセ名古屋2号館の中央付近に、1台のスケルトンマシンが展示されていた。製作したのは三重県四日市市のフヂイ エンジニアリング。このマシンは同社が仕掛ける新たなモータースポーツカテゴリー「Moto-GT」用だ。
縮小する日本のレース界を危惧したフヂイ エンジニアリングでは、状況を打開するため、新しいレースのシステムの構築をスタートさせた。アメリカのNASCARを参考に、日本に合う要素を盛り込んでいくという。
同社の藤井 充さんによると、企画中の新たなモータースポーツ「Moto-GT」は、『M01』という専用マシンを使ったワンメイクレースだ。
M01は、480kgの軽量シャーシに180PSのオートバイ用のエンジンをマウント。ランボルギーニ『ムルシエラゴ』と同等の2.6kg/psというパワーウエイトレシオでレースマシンとして十分な動力性能を持つ。価格は260万円程度として、新規参入の敷居を下げる予定だ。
現状はガソリンエンジンだが、自由度の高い車体なので電気自動車化することも難しくなく、環境に優しいレースの実現も可能だという。
M01を使って、若手ドライバーがメジャードライバーに挑戦するようなスタイルや、雑誌、テレビといったメディアがチームオーナーとなり、一般からのオーディションでドライバー選考をする「開かれたレース」を考えているという。
参加者はもちろん観客も楽しめるレースを作ることで、モータースポーツ全体を押し上げる起爆剤になればと、藤井さんは語っていた。既に数社からスポンサードの申し出があり、賛同者は増えつつあるという。
また、このレースマシンのカウルデザインは大阪芸術大学のデザイン学科が担当。同大学でプロダクトデザインを選考する長野京介さんは「乗っていただく方をイメージしてデザインを考えています。30 - 40代の方をドライバーと想定して、その年代が思い描くGTマシンをイメージソースとして作っています」という。
このM01、2010年秋にはカウルをつけた完成車が仕上がる予定だ。レースの広がりと共に今後の展開が注目される。