帝国データバンクは、世界同時不況の影響を受け厳しい事業環境に直面した自動車産業のうち、新車販売、部品・用品小売、整備といった川下の事業者の現状を探るため、2009年12月末時点のデータベース企業概要ファイル(127万社)から一定基準の企業を抽出、業績を分析した。2009年の各事業者の倒産の傾向も検証し、企業規模や取扱ブランドなどとの関係を探った。
調査結果によると2008年度の売上高については、総じて減収基調となった。自動車販売事業者1231社では72.5%に当たる893社が減収となり、10.2%に当たる125社が横ばいだった。全体の8割の企業が前年度実績以下となった。
自動車部品・用品小売事業者149社でも6割相当の97社が減収または横ばいで、整備事業者96社のうち、過半数の49社が減収または横ばいだった。
2008年度の当期損益状況については、整備事業者では黒字が7割となったが、自動車販売事業者と自動車部品・用品小売事業者ではともに黒字が多数を占めたものの過半数には届かなかった。
残り3か月弱となった2009年度については、国内新車市場がエコカーの需要増によりやや盛り返し基調にある。ただ、自動車販売事業者では、取扱メーカー・ブランドによる業績格差が2008年度以上に拡大することは確実。部品・用品小売、整備事業者についても、エコカー需要に対応した商品・サービス提供への取り組みの度合いにより、企業間に優劣が生じる見通し。
2010年度以降については、エコカー補助金の半年延長によるエコカー需要の継続とともに、環境対応としてカーシェアリングに代表される自動車の利用方法の変化が一層進展する見通し。
新車販売、部品・用品小売、整備でも、自動車を取り巻く環境が変化し、この影響を大きく受けることは必至で、新たなニーズに応える商品・サービス提供の取り組みへのスピードやクオリティが、川下事業者の業績を左右するとしている。
一方、2009年の倒産件数については、自動車販売事業者と整備事業者が増加した。自動車販売事業者の増加は2年ぶりで、2008年比28.2%増と整備事業者の同5.3%増を大きく上回った。