日立、レアアース磁石リサイクルは経済発展のカギ

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日立製作所は、経済産業省の「平成21年度新資源循環推進事業費補助金」を受け、レアアース磁石のリサイクル技術の開発を開始する。具体的には、レアアース磁石の分離・回収装置の開発、使用済み磁石の再生技術の検討を行い、その後、リサイクル全体のコスト試算などを経て、2013年をめどにリサイクル事業を開始する。

レアアース磁石は、鉄を約3分の2、レアアースを約3分の1含む合金で、ネオジムを主材料とするほか、耐熱性能を保持させる場合にはジスプロシウムを添加する。磁力が強く耐熱性に優れているため、パソコンのハードディスク(HDD)やIT機器、風力発電機、省エネ型のエアコンや洗濯機、そしてハイブリッド自動車の駆動用モーターなど、低炭素社会を実現する製品に必要な材料として需要が高まっている。

しかし、その産出量は中国が約97%を占め、特にジスプロシウムは中国のみで産出されている。また、代替材料の開発にも時間を要するため、レアアースの安定供給のためには使用済み製品からリサイクルすることが期待されている。

このような背景から、日立はレアアース磁石のリサイクル技術を開発することにした。まず、HDDやエアコンなどのモーターからレアアース磁石を分離・回収する装置を開発。開発した磁石は、日立金属などと共同で再度レアアース磁石として再生する可能性を検証するとともに、日立の研究所と連携して低コストで環境負荷が小さい新たな再生技術の開発を行う。

希少金属をほとんど海外に頼っている日本では、いかにそのリサイクル技術を開発するかが今後の発展のカギを握っているといっても過言ではない。このような取り組みを産官学連携でもっと積極的に進めてもらいたいものだ。

《山田清志》

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